大河原克行のキーマンウォッチ

DXといえばマイクロソフトと言ってもらえる企業になる――、日本マイクロソフト・吉田仁志社長

 「2021年も、日本マイクロソフトの基本姿勢は変わらない。お客さまに寄り添うマイクロソフトを目指すとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)といえばマイクロソフトと言ってもらえる企業を目指す」――。

 日本マイクロソフトの吉田仁志社長は、2021年の方向性について、こう切り出した。新型コロナウイルスの感染拡大が終息する気配が見えないなか、新たな社会環境や生活様式への対応は不可避といえる状況にある。そうした環境において、日本のDXをリードする存在である日本マイクロソフトが果たす役割はますます大きくなりそうだ。

 2021年の取り組みについて、日本マイクロソフトの吉田社長に話を聞いた。

日本マイクロソフトの吉田仁志社長

「マイクロソフトがいてよかった」という声をもらえた

――2020年は、日本マイクロソフトにとってどんな1年でしたか。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社会環境や生活様式も変わるなかで、日本マイクロソフトが、社会にとってどんなお役に立てるのかを考え、それを実行できた1年だったといえます。

 社内では、SWATチームのような特殊部隊による体制を敷くなど、お客さまの支援に積極的に対応することを優先しました。その結果、「マイクロソフトがいてよかった」、「マイクロソフトのツールがあって助かった」という声をずいぶんいただきました。

 政府・自治体、企業、教育現場など、幅広いユーザーに貢献できたといえます。例えば厚生労働省では、マイクロソフトのクラウドをフル活用した「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」を構築したり、神戸市では、特別定額給付金の問い合わせへの対応など、新型コロナウイルス感染症に関する複数の業務で、Power Platformを活用して、短期間にアプリ開発を行った事例があったりしました。

 また民間企業との連携では、物流のヤマトグループが、データドリブン経営への転換に向けたデータ分析基盤として、Azure Synapse Analyticsを採用。山口フィナンシャルグループとは、地域のDX推進を目的として包括連携協定を締結し、このなかで、Teamsを利用して完全非対面での営業活動を開始する、といった取り組みなどがあります。また、ソニーとの協業では、インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」に、Azure AIの機能を組み込み、スマートカメラなどで撮影された映像から有用な情報を抽出するといった成果も上がりました。そして、立命館小学校では、卒業式の様子をライブ配信し、会場に参加できない保護者たちが、その映像を視聴できる環境も支援しました。

 マイクロソフトのテクノロジーや製品が、コロナ禍における社会課題の解決に貢献できたといえます。

――日本のデジタル化の遅れが露呈した1年でもありました。

 多くの企業や政府・自治体は、DXに取り組まなくてはいけないとは思っていながらも、なかなか踏み出すことができなかったというのが、これまでの実態でした。しかし、コロナ禍において、DX取り組まなくてはならないという「緊急度」と「重要度」が、急速に深まった1年だったといえます。

 私を含めて、長年IT業界で働いている人のほぼ全員が、日本のデジタル化やIT利活用の遅れを感じていましたが、この1年で、IT業界以外の多くの人にも、「日本のデジタル化の遅れ」の実態が知れ渡ったともいえます。しかも、それが企業におけるITの遅れだけでなく、政府や自治体、教育、そして家庭や個人を含めた、日本全体が遅れているということにも気がついたのではないでしょうか。

 例えば、大企業ではリモートワークに移行したいと思っても、持ち運べるハードウェアがないことや、ハンコの押印をはじめとして、会社に行かないとできない作業が多いこと、ルールやポリシーが社内で仕事をすることを前提に作られているため、必要な資料が持ち出せないことなど、課題も浮き彫りになりました。

 また、リモートワークの本質が理解されていないため、社員が自宅でちゃんと働いていることを確認するためのツールが欲しい、といった要望もありました。新たな働き方においては、働く時間を管理するというのではなく、成果をもとに評価する仕組みを導入することも大切です。こうした企業文化の醸成や、評価方法、ルールの変更といったことに苦労した企業も多いようです。

 日本マイクロソフトでは、2019年8月に週勤4日(週休3日)という勤務体制を取り入れました。ここでの経験を生かすことはできたものの、それでもこれまでに経験がしたことがないリモートワークの長期化で、働き方を改善する必要がありました。

 Microsoft 365で提供しているMyAnalyticsで、個人の働き方を分析してみると、リモートワークの方が社員が働く時間が長くなる傾向がわかりました。仕事と生活の切り替えが難しいため、どうしても働く時間が長くなってしまうのです。

 また、個人の健康管理をすることも難しくなっていることがわかりました。そこで、働く時間はしっかりとブロックしながら、いつでも気分転換や健康管理のために外に出て、散歩をしてもいいということも決めました。健康管理に注意しながら、働ける時間で働くというように、新たな環境では、自分で健康を維持することが大切な要素になってきたといえます。

 一方で、多くの企業が、リモートワークのメリットを理解するきっかけになったともいえます。実際、多くの人がリモートワークを活用していますし、経営トップとのミーティングもオンラインが定着し、オンラインならではの良さを活用して、社長が社員とノーアジェンダで気軽に話をして、コミュニケーションする機会を作るといった動きもあります。実際、私もそうしたことを積極的に行っています。

 日本では、リモートワークによって効率性が上がったという回答がグローバルのなかで多い、という結果が出ています。その背景にあるのが、満員電車で通勤をしなくて済むという日本固有の状況です。これからは、出勤して働くこと、リモートで働くことを組み合わせたハイブリッドが主流になってくるでしょうね。

Microsoft Teamsでは、2歩も3歩も先の使い方が提案できる

――オンライン会議ツールでは、Zoomの勢いが目立ちますね。

 Zoomをはじめとしてさまざまなオンライン会議ツールが登場していますが、Microsoft Teamsは、ほかのオンライン会議ツールとは異なる点をもっと訴求していく必要があると考えています。

 Teamsは、単なるオンライン会議のためのツールではありません。コラボレーションプラットフォームとして、資料を共有したり、共有している資料のバージョン管理を行ったり、AIを活用して勤務状況や健康状況を管理したり、また、Power BIとも連動した活用なども可能です。

 そして最大の強みはセキュリティです。競合製品ではセキュリティの問題から、米国のある都市や企業が利用を禁止しているケースもあります。社内だけでなく社外とつながるときに、セキュリティに投資をしなくていいこと、セキュリティに気をつかわずに利用できることは大きなメリットです。一番の悩みごとがなくなるわけですからね。

 このように、Teamsは他社のオンライン会議ツールとは異なり、2歩も3歩も先の使い方が提案できます。Teamsとはどういうツールであるかという点について、正しい理解を広げていく必要があります。

あるべき教育の姿を定義し、それに向けて最適なデバイスが選べているか?

――2020年を振り返ると、日本ではGIGAスクール構想によって、児童・生徒1人1台のパソコン利用環境が整備されたことが大きなトピックスだといえます。しかし、ここではChromebookの導入がかなり進んでいます。

 GIGAスクール構想では、1台あたり4万5000円の補助金が用意されていますが、その結果、低価格のデバイスに注目が集まるという傾向があります。Windows搭載パソコンでも3万円台の製品はありますが、Officeのフル機能が使える付加価値モデルという位置づけでとらえられることも多く、そのスタンスで売り分ける販社もいます。私は、同じ4万5000円以内ということであれば、子供たちには、Officeのフル機能を使える環境で学んでほしいと思っています。

 ただ教育現場で大切なのは、どのデバイスが安いとか、性能が高いとかではなく、あるべき教育の姿を定義し、それに向けて最適なデバイスが選べているかだと思っています。

 マイクロソフトは全世界の教育現場に対して提案したり、導入したりといった実績を持っていますが、そこからわかるのは、単にタブレットを配って、うまくいった例はないということです。新たな指導方法ができたり、データをもとにして教育の進むべき道を示したり、児童生徒が意欲を持って学べる環境を作れたりするかどうかが大切です。

 欧米のある国では、無償で配布されたタブレットを利用していましたが、効果が出なかったため、結局、Windowsデバイスに戻すことになったという例があります。米国の進学率が低い学校では、Windowsデバイスを導入して生徒の学習意欲を高め、トップグループに入る進学率になった事例も出ています。Windowsデバイスを導入している教育現場では、しっかりとしたピジョンを描き、デバイスの利用方法についても理解しているケースが目立ちます。

 マイクロソフトでは、こうした全世界での教育現場での経験や、それに関する情報を公開して、多くの人が情報を得られるようにしています。

――ただ教育現場には、Windows搭載パソコンは「急に更新がはじまってしまい、授業中に使えなくなるのではないか」、あるいは「起動が遅く、あらかじめ電源を入れておかないと授業がすぐにはじめられない」といった不安があるようですが。

 そうしたイメージが根強いようですが、Windows搭載パソコンの管理性は大幅に改善しています。アップデートやマネージビリティに課題があると言われますが、アップデートのタイミングは制御できるようになっていますし、起動時間も短くなっています。これまでの悪いイメージが払しょくしきれていないという点では、改善の余地があります。この部分については、対策を打つ必要があると思っています。

自らも変わり、お客さまと一緒になってDXに取り組んでいく

――コロナ禍において、日本マイクロソフトの売り上げは伸びているのでしょうか。

 新型コロナウイルスの感染拡大のなかで、クラウドに対する関心が高まっています。また、新たな働き方に対する関心も高まり、DXに踏み出す企業も増えています。この傾向はしばらく続くと考えています。

――一方で、この1年で、日本マイクロソフトの社内にはどんな変化がありましたか。

 社内では、「Transform Japan, Transform Ourselves(日本を変え、私たち自身を変えよう)」というメッセージを打ち出しています。DXによって、日本を変えるだけでなく、日本マイクロソフト自らも変わり、お客さまと一緒になってDXに取り組んでいく姿勢を明確にしています。

 それにあわせて、組織体制を大きく変えました。マイクロソフトのミッションは、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」ということです。これは、日本マイクロソフトの立場から見れば、DXによって日本を変え、そのためにお客さまを支援する、と言い換えることもできます。社員も理解しやすいメッセージだといえます。

 また社外に発信するメッセージとして、「お客さまに寄り添うマイクロソフト」、「デジタルトランスフォーメーションといえばマイクロソフト」という言葉を使っています。社内には定着しはじめた言葉ですが、社外に向けては、まだまだ発信をしていかかなくてはなりません。社外に認めてもらうには、言葉を発信するだけでなく、行動で示していく必要がありますから、時間はかかります。

お客さまに寄り添うマイクロソフト
マイクロソフト=デジタルトランスフォーメーション

 ただ、新型コロナウイルスの影響もあり、想定していたよりも、このメッセージが響きやすくなっているかもしれません。コロナ禍で、DXに取り組む必要に迫れた企業や、新たな働き方に取り組んでいる企業からは、「寄り添ってくれた」、「オープンに対応してくれた」という声をいただいています。

――2020年10月の事業方針説明会見では、吉田社長が、「日本マイクロソフトは、社員一人一人が失敗を恐れずに、チャレンジする集団に変革し、貢献できるまで、へこたれないで、引き下がらずに提案する組織になる」と発言していたのが印象的でした。

 チャレンジする組織になること、へこたれない組織になるということは、社内に定着しつつあると思っています。実は、「リスクテイクアワード」という表彰制度を新たに設け、2021年1月に1回目のリスクテイカーを表彰しました。Winした人を表彰する制度はありますが、これは、失敗した人を表彰する初めての制度です(笑)。

 大きなリスクを取って挑戦したが、残念ながら成功にはむすびつかなかった人を、社長賞のひとつとして表彰したのです。日本が先駆けて用意した仕組みで、今後は半年ごとに表彰したいと思っています。表彰された社員は、リスクテイカーを受賞したことを社外には言いたくないかもしれませんが(笑)、「この社員は挑戦をしている」ということを社内に示すことができ、失敗しても挑戦ができるという社内の風土を醸成することにもつながると思っています。

 社内での予算の立て方も、まだコンサバティブなところがあって、予算を大きく上回ることが評価される風土があるため、どうしても低く見積もるという傾向がありました。これも、達成率が大きいことを評価するのではなく、意欲的な目標を立てて、それに近い数字を達成した人を評価する形に変更しました。

――日本マイクロソフト自らのDXの成果はどうですか。

 まだ道半ばです。やらなくてはならないことがたくさんあります。ただ、ここでの成功事例や失敗事例は、もっと共有していきたいと思っています。マイクロソフトはテクノロジーカンパニーですが、DXの実行において、最後にくるのがテクノロジーです。クラウドを使って、どうDXをやるのかではなく、DXを推進する上で、ひとつのテクノロジーとして、クラウドをどう使うかという考え方が大切です。

 また、DXで大切なのは教育です。デジタル人材が少ないだけでなく、デジタル人材を育ている人も少ないのが、いまの日本の現状です。長期的視点で見た場合、人材が育たなくては継続的なデジタルトランスフォーメーションが起きません。これは、企業も政府・自治体も同じです。ですから、日本マイクロソフトはDXの推進において、デジタル人材育成という部分にかなり力を入れているのです。

次世代のデジタル人材育成が重要だという

お客さまと腹を割って、ざっくばらんに話ができる環境を作る必要がある

――2021年は日本マイクロソフトにとってどんな1年になりますか。

 やはり、「お客さまに寄り添うマイクロソフト」、「デジタルトランスフォーメーションといえばマイクロソフト」といった取り組みを、さらに追求していく1年になります。これは、すぐにできるものではないですから、今後も継続的して取り組んでいくものになります。

 DXを提案したり実行したりする上で、自らの体験をもとに、迫力を持って「DXとはこういうものである」ということが言えるようにならなくてはいけません。また、世界中のユースケースをもっと紹介し、お客さまと情報をシェアしていかなくてはなりません。

 そのためには、お客さまと腹を割って、ざっくばらんに話ができる環境を作る必要があります。対等のパートナーシップという関係を築き、寄り添うことができる関係になることで大切です。もともと日本のIT業界にはアウトソースの文化があり、その結果、企業のなかにノウハウがたまりにくいという状況が生まれています。われわれも、失敗した経験を話しながら、一緒に課題を見つけてそれを解決し、一緒になって変えていくという姿勢で取り組んでいきます。

 日本マイクロソフト社内では、社員の評価の仕方や、組織の在り方を変えています。DXに対する社内の指標を作り、成功の定義も見直しています。全社での売り上げやコンサンプションといった指標もありますが、どれだけのお客さまにDXを伝えることができたのか、オンラインを含めて、お客さまと接している時間がどれだけ増えているか、どんな会話ができているのか、経営課題やセキュリティの課題などの目線で提案できているのか、お客さまの満足度はどうなのか、といったことも視野に入れ、それを個人のレベルにまで落とし込みながら、マイクロソフトならではの貢献ができているのかどうかを重視しています。

 日本マイクロソフトのすべての社員が、DXをちゃんと説明できる状況を作ることに力を注いでいます。2021年も、「お客さまに寄り添うマイクロソフト」、「デジタルトランスフォーメーションといえばマイクロソフト」と言われるように努力を続けていきます。

――2021年度は、「政府、自治体のデジタルトランスフォーメーション」と「市場、顧客のデジタルトランスフォーメーション」の2点に注力する姿勢を示しています。これまでは重点業種をいくつも挙げることが多かったのですが、それに比べると、かなり大きなくくりという感じがします。この狙いはなんですか。

 いまは、新型コロナウイルスの感染拡大によって生まれた課題への対応を最優先しています。では、どの業種が新型コロナウイルスの影響を受けたのか。それは、すべての業種に渡ります。ですから、特定の業種に対して、重点的に取り組むのではなく、あらゆる業種に対して、お役に立つという姿勢を示したのです。

 その結果、「市場、顧客のデジタルトランスフォーメーション」といった大きなくくりになりました。あの業種は重点だが、この業種は重点ではないというものはありません。

 もちろん、インダストリーごとに状況は異なりますから、それぞれに特化した取り組みを進めていく体制に変わりません。DXとなれば、当然、業種ごとに深堀りし、突き詰めていくことが必要になります。マイクロソフトは全世界での経験をもとに、インダストリーごとのベストプラクティスを持っています。

 また、IaaSだけの提案でなく、クラウド全体での提案が可能です。ここにも日本マイクロソフトの特徴が生かせると思っています。

政府、自治体のデジタルトランスフォーメーション
市場、顧客のデジタルトランスフォーメーション

もっともDXが遅れているのは政府?

――一方で、「政府、自治体のデジタルトランスフォーメーション」を、2本柱のひとつに位置づけました。これまでの日本マイクロソフトの歴史のなかで、政府や自治体が大きな柱のひとつに掲げたのは初めてのことです。

 誤解を恐れずにいえば、最もDXが遅れているのは、政府だといえます。日本を支援するためには、政府のDXへの支援を避けては通れません。2021年は、デジタル庁創設の動きもありますから、デジタルガバメントに関する組織体制は、もっと強化していきますし、私自身も、政府、自治体の方々と話をすることに多くの時間を使っています。これまでのように、政府の方針が出てから動き出すというのではなく、もっと早い時点で動き出さないといけないと考えています。

――総務省による第二期政府共通プラットフォームが、Amazon Web Services(AWS)上で運用が開始されます。日本マイクロソフトの出遅れを感じますが。

 確かに、先手を打たれたという認識はあります。そこにおいて、IaaSでは先駆者であるAWSが獲得したことも理解ができます。しかし、これは、総務省の部分だけの話であり、政府、自治体におけるDXに関する案件は、むしろこれからが本番です。また、政府もマルチクラウドへの取り組みを前提としていますから、そこにもチャンスが生まれます。仮にオセロゲームに例えるならば、最初の一手を打った場面であり、そこでAWSが先行した。不利な戦況になる四隅のひとつを取られたわけではありません。すべての戦いに勝てるわけはありませんが、まだ戦いは始まったばかりです。

パートナーがDXを提案できるように支援していく

――パートナー戦略の強化については、どんなことに取り組みますか。

 パートナー戦略は、2021年において重要な取り組みになります。特に強化したいのは、パートナーがDXを提案できるように支援をしていくということです。さまざまなトレーニングメニューを用意し、認定資格の支援にも取り組みますが、その一方で、いかにこれを応用するかといった「ラーニング」について力を注ぎたいと思っています。日本でのビジネス拡大においては、パートナーとの協業は最重点で取り組んでいく必要があります。一緒にDXを推進するDXパートナーとして、イノベーションを自ら提案できる体制づくりに向けて支援をしていきます。

――日本マイクロソフトは、「クラウドナンバーワンプレイヤー」を目指すことを宣言しています。これはいつ実現する予定ですか。

 パブリッククラウドでナンバーワンという観点では、調査結果によっては、日本マイクロソフトが1位という状況まできています。今後もこの勢いを増して、どの調査においてもナンバーワンプレイヤーであることを目指します。今年は、クラウドのプレイヤーとして、DXに関する相談をするならば、日本マイクロソフトだというイメージをもっと作りたいですね。DXについて相談してみようと思ってもらい、それを検討した結果、やっぱりマイクロソフトだねと言われ、マイクロソフトと一緒にやったらDXを成功できた、といったもらえたら、自(おの)ずとクラウドナンバーワンプレイヤーの座になるでしょう。数字はあとからついてきます。ですから、まず目指すのは、「心に残るのがマイクロソフトである」ということになります。

 先に触れたように、調査によっては、クラウドベンダーはナンバーワンになっています。ただ、「IaaSはまだ違うだろう」という言われ方をすると、気持ちが落ち着かない部分があるので(笑)、そこはあらゆる領域で、名実ともにナンバーワンになっていきたいですね。

 DXによって、日本が変わり、日本が強くなった。そこに日本マイクロソフトが貢献してくれた、と言われたいと思っています。日本では、クラウド化していない企業が7割あります。これは、チャンスでし、その状況を見れば、これからが本番であることがわかります。記憶にも残り、記録にも残る。まずは記憶に残るナンバーワンを目指します。