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QualcommがIntelを買収? 揺れる半導体産業の巨人

Intelの凋落

 「Intelの買収」などといったことは、数年前までは考えられなかったことだ。しかし、Intelはそれほどまで落ち込んでおり、「50年の歴史の中で最も深刻な危機に直面している」(Wall Street Journal)という。

 半導体業界の中でのIntelは、2020年ごろからTSMC(台湾積体電路製造)やSamsungなど、アジアの企業と製造プロセス技術で差をつけられ始めた。

 そしてAIブームで、焦点は機械学習に必須のGPUや推論向けのASICなどに移っていった。象徴的なのがAIブームに乗ったNVIDIAで、今やその時価総額は3兆ドルに達している。その一方で汎用プロセッサ中心のIntelは、次第に取り残されていった。

 ただ、Intelが生成AIブームに乗るチャンスはあったようだ。Intelは2017年~2018年にOpenAIから出資を持ちかけられたが断っていたとReutersが報じている。

 Intelは、2021年にPat Gelsinger氏をCEOに迎え、立て直しを図っているところだ。Gelsinger氏はかつて同社でCTOを務め、その後はVMwareを率いて成功に導いた人物だ。半導体業界に精通した同氏の手腕が注目された。

 そのGelsinger氏の再建プランの特徴は、製造プロセスの微細化技術に加えてファウンドリ(受託生産)事業を強化する点にある。「Intel Foundry Services」として自社だけでなく製造施設を他社にも開放するというものだった。

 だが、そのために試みたファウンドリ企業の買収は頓挫し、このファウンドリ機能を利用する話し合いを進めていたQualcommも、技術的な理由で実現しなかったとWall Street Journalは伝えている。

 Intelが8月初めに発表した2024年第2四半期の決算では、売上高は前年同期比1%減の128億3300万ドル、営業損失が19億6000万ドル。損益は、前年同期の14億8100万ドルの純利益から16億1000万ドルの純損失となった。同社は合わせて、従業員の15%にあたる1万5000人の人員削減計画を明らかにし、配当金の支払いを停止した。

 さらに8月下旬、取締役のLip-Bu Tan氏が突然辞任した。ファウンドリ部門を分社化した際には、これを率いるとみられていた人物で、再建計画が頓挫したことを示唆している。

 9月16日、Gelsinger氏はファウンドリ事業を切り離す計画を発表した。