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QualcommがIntelを買収? 揺れる半導体産業の巨人

 QualcommがIntelに買収を打診した――。Wall Street Journal(WSJ)の記事は業界に衝撃を与えた。1990年代からPCの普及に乗って成長したIntelだが、業界の変化の中で近年は苦戦を強いられている。「Win-tel」で一時代を築き、「Intel Inside」で誰もが知る半導体産業の巨人はどんな道を選ぶのだろうか。

「Intel Insideの悲しい皮肉」

 9月20日付のWall Street Journalが、Qualcommが最近、Intelを買収することの可能性を打診したと報じた。消息筋からの情報で、取引は確実なものではなく、正式なオファーでもないとしている。両社ともコメントを出していない。

 Qualcommはスマートフォンなどモバイルに強く、「iPhone」のAppleも顧客だ。Intelにとっては、モバイルで大きく水を空けられているライバルだ。

 両社への市場の評価はどうだろう。Axiosが掲示した両社の株価の推移を見ると、2023年9月には同程度だったのが、2024年の2月ごろからIntelの株価が下がり始める。2023年9月を起点とするとQualcommは56%高、Intelは36%安となる。

 最盛期には5000億ドルを記録したIntelの時価総額は、買収報道時点で900億ドル程度。対するQualcommの時価総額は約1850億ドルだ。Qualcommには大きな賭けとなるが、成功すれば事業は大幅に拡大し、モバイルに加え、Intelが得意とするPC・サーバーとの補完関係を構築できる、とWall Street Journalは言う。

 Bloombergのオピニオンを担当するChris Hughes氏は「Intelはチップ業界のレガシーだ。Qualcommが買収することになれば歴史的なことになる」とし、「(Qualcommの中にIntelがある)“Intel Inside”は悲しい皮肉になる」と記している。