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QualcommがIntelを買収? 揺れる半導体産業の巨人

「バカバカしくてコメントできない」

 QualcommによるIntel買収は、先述のように正式な段階にはなく、流れる可能性も大きい。今後を占うのは難しいが、WSJの買収報道後、Financial Timesは近い筋の話として、IntelがGoldman Sachs、Morgan StanleyとQualcommのアプローチを吟味していると報じた。

 もし買収に向けて動くとなると、2023年にMicrosoftが690億ドルで買収したActivision Blizzardを超える史上最大のテクノロジー関連M&A案件となる。

 大きな障害は当局の規制だろう。だが、半導体は国家覇権をかけた問題であり、米国の半導体を強化するという点で承認を得やすいとの見方も多いようだ。

 Intelには自動運転技術のMobileyeの株式売却などの臆測も絶えない。Intelは事業の切り出しを進めており、QualcommはIntelの事業の取得を精査する中で、同社を丸ごと買収することを考えるようになったという報道(Financial Timesなど)もある。

 一方、Wall Street Journalの買収報道2日後の9月22日には、プライベートエクイティファンドのApollo Global ManagementがIntelに「数十億ドル規模」の出資を提案したとBloombergが報じた。Qualcommの買収とは別の選択肢を提供するのが目的という。

 Financial Timesによると、Citiのアナリストはメモで、Intelの株主はQualcommによる買収には難色を示すだろうと予想している。代わりに、Intelはファウンドリからの撤退を進めるべきだと主張する。売却は論外で、「バカバカしくてコメントできない」と一蹴している。

 続く9月26日には、別の買い手の名前も出てきた。ファブレスを代表するArm HoldingsがIntelのプロダクト部門を買収する可能性を打診した、とBloombergが報じた。Arm側はIntelのファウンドリ部門には関心を示さなかったと事情通の話として伝えている。

 だが、これに対してIntel側は「事業は売却対象ではない」として拒否したという。

 かつて時代の顔だったプレイヤーたちの後退が続いている。テクノロジー業界の激しい変化を思わずにいられない。