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Amazonが格安モバイル事業? 投資家からは選択と集中求める声も

Walmart+との激しい競争

 AmazonがPrimeサービスの強化に躍起となっているとしても驚きではない。背景として考えられているのが、ライバルWalmartとの競争だ。

 Walmartは2020年に、Amazon Primeと競合する「Walmart+」を米国で開始し、1年で3200万世帯を獲得した。一定金額以上になると無料で配達が受けられるほか、Paramountとの提携により動画サービスも追加する。料金は年額98ドルだ。

 Amazonは2022年に四年ぶりにPrime会費を引き上げ、月額12.99ドルが14.99ドル、年額は119ドルが139ドルとなった。Walmart+よりも高い設定となっている。

 TechCrunchは、AmazonがMVNOに参入することはキャリアにとって顧客の争奪戦を意味するものの、通信各社は5Gに巨額の投資をしていることから「(Amazonとの提携を)断る余裕はない」というBloombergの見方を紹介する。

 しかし、通信業界専門メディアのLight Readingは厳しい見方を紹介する。

 MoffettNathansonのアナリスト、Craig Moffett氏はLight Readingに対し、「Amazonがその気であればMVNO契約を結ぶことは可能」としながらも、卸売コストはPrime会費よりも高くなると指摘する。

 「通信量だけで年240ドル程度、これはPrimeの年会費である139ドルよりも高い。無料で提供するとなると、大きな損失が出ることになる」(Moffett氏)

 またキャリアにとってもメリットがないとMoffett氏は言う。「トラブルメーカーを喜んで迎え入れようなどと思わない」と厳しい。

 コストだけではない。Light Readingは「通信業界は顧客情報の取り扱いが厳しく規制されており、規制リスクに直面する可能性がある」とも指摘する。

 こうしたことから、"Prime Wireless"が登場したとしても、解約率の低下以外には大きな好影響をもたらさないと予想する。