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Amazonが格安モバイル事業? 投資家からは選択と集中求める声も

 Amazonが米国で格安携帯電話サービスの導入を検討していると伝えられた。Prime会員向けに低価格、あるいは無料で提供するというものだ。Amazonは「現時点でワイヤレスサービスの計画はない」と否定したが、一週間足らずで、今度はPrime Videoに広告付きのストリーミングサービスを準備していると伝えられた。Prime事業のテコ入れとして、次の一手を探っていることは間違いなさそうだ。

Prime会員向けの安価なMVNOサービス

 「Amazonの携帯電話サービス参入」を報じたのは6月2日付のBloombergだ。それによると、Amazonは米国のPrime会員向けに携帯電話サービスを提供するため、Verizon、AT&T、T-Mobileの3大キャリア、および衛星サービスのDish Networkなどと交渉しているという。

 通信回線を借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)としての展開となり、料金は月10ドル程度と「安価」もしくは無料で提供する可能性もあるとする。

 狙いはPrime事業の強化だ。安価な携帯電話サービスをセットにすることで顧客を呼び込めるだけでなく、既存会員の囲い込みにもつなげられる。現在のPrimeは月額と年額があり、簡単に入退会できるが、携帯電話があれば簡単にはやめられない。

 しかし、Amazonは声明を出して「Prime会員にさらなるメリットを追加することを模索しているが、現時点でワイヤレスを加える計画はない」と言下に否定。VerizonとT-Mobile、さらにAT&Tは、この件でAmazonと協議はしていない、と問い合わせたTechCrunch、The Vergeなどのメディアに答えた。

 Bloombergは、この計画は開始までにさらに数カ月かかる可能性があり、破棄される可能性もあるとしている。既に消滅したのかもしれない。

 一方Wall Street Journalはその6日後、Prime Videoの広告付きプランを消息筋の情報として報じた。動画ストリーミングサービスは厳しい戦いが続いており、コロナ明けで需要そのものの伸びも危ぶまれる。Prime Videoの広告付きプランが登場すれば、Netflix、Disney+などに次ぐものとなり、広告主の需要も高いという。

 Amazonがあの手この手でPrimeに手を入れようとしていることがうかがわれる。