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対話型AIめぐるドタバタ劇 突き進むビッグテック

 OpenAIのChatGPTの公開から3カ月。対話(チャット)型AIアプリケーションは、メインストリームに躍り出た。MicrosoftとGoogleが競ってコンシューマー向けのAIサービスを打ち出し、それぞれ同じ日に発表するという騒ぎだ。急速なAIへの期待に、開発をリードしてきたビッグテックさえ浮き足だっている。そして、この日の両社の明暗は分かれたようだ。

「AIで検索を再発明」するMicrosoft

 「全く新しいプラットフォーム技術で新しいレースが始まると感じている」。AI検索サービスの発表に合わせて受けたWall Street Journalの独占インタビューで、MicrosoftのSatya Nadella CEOはこう語った。

 2月8日、Microsoftは、レッドモンドの本社で急きょ開いた発表会で、AIをベースにしたBingの新しい検索サービスを発表した。チャット型検索の「BingChat」と、Microsoft Edgeブラウザーに統合した「Bingサイドバー」で、ユーザーに「Search」「Answer」「Chat」「Create」の4つの機能を提供する。

 いずれも大型出資などで関係を深めているOpenAIの技術を活用したものだ。Microsoft版ではChatGPTの基盤である「GPT3.5」のアップグレード版を採用し、「Prometheus モデル」と呼んでいる。

 これには、ChatGPTにない強力な特徴がある。ChatGPTが2021年時点までの情報しか持っていないのに対して、新Bingは最新の情報を返すことができる。The Vergeが試用したデモでは「過去1 時間にニュース サイトで公開された記事を引用して、新Bing自身のローンチに関する質問に答えた」という。また、情報ソースをリンクで示すこともできる。

 AIの全製品展開を目指すMicrosoftがBingから始めるのは、Googleの牙城である検索サービスに挑むという宣言でもある。Nadella氏は、Wall Street Journalに「ユーザーにとっては、ようやく選択肢を手に入れることができ、本当の意味で競争力のあるレースが始まるのだと思う」と語っている。

 反響は大きく、ヴァイスプレジデント兼コンシューマー最高マーケティング責任者のYusuf Mehdi氏のツイートによると、発表から48時間で新Bingのウエイティングリストへの登録者は100万人を突破した。

 この発表会の開催がメディア各社に告知されたのは2月6日。Googleが自社の新しい対話型AIモデル「Bard」を公式ブログで発表した「数分後」(Reuters)だったという。両社は火花を散らしている。

 そしてMicrosoftの発表会の19時間半後、Googleは開発者イベントをストリーミングで中継した。

 誰もがBardの印象的なデモを見られることを期待したのだが、ふたを開けてみると、それはなかった。