Infostand海外ITトピックス

Uberがフルクラウドへ Oracleのクラウド事業が躍進中

 配車・物流サービスのUber Technologiesが従来の方針を変更してフルクラウド化に踏み切った。そこで新たに選んだパートナーがOracleとGoogle Cloudだ。既にUberと契約しているAWS(Amazon Web Services)との3社で大規模なサービスを支えてゆくことになる。なかでもクラウド事業「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の最近の好調が目立つOracleには、重要な一歩と言えそうだ。

自社データセンター重視からフルクラウドへ転換

 Uberは2009年の創業以来、自社のデータセンターを重視するテクノロジー戦略をとってきた。Wall Street JournalやThe Registerによると、95%以上のITを社内データセンターで支えきたという。それが今回、クラウドへの完全移行を発表した。

 Uberをクラウド移行に踏み切らせた要因の1つが、新型コロナだ。半導体をはじめとするハードウェアのサプライチェーンが乱れ、自社データセンターの見直しを余儀なくされた。Uberのテクノロジー戦略担当シニアディレクターKamran Zargahi氏は「ITハードウェアの納品が12カ月以上も遅れた」とWall Street Journalにこぼしている。

 もう1つの理由が、先行き不透明な経済状況だ。業界全体の株価低迷で、テクノロジー企業はどこもコスト削減に必死だ。Uberも自社データセンターからクラウドに移行することで、コストの削減が可能になると判断した。

 Uberが2019年のIPO時に提出した書類によると、2018年のオフィスとデータセンターの賃料は2億2100万ドルと巨額だった。Zargahi氏は、クラウドはデータセンターよりも低コストとしており、一部のデータセンターの賃料契約も終了するという。

 こうした動きにGartnerのバイスプレジデント、Sid Nag氏は次のようにWall Street Journalにコメントしている。「誰もが内部コストを削減し、収益を最大化しようとしている。Uberのような企業にとって(データセンターの廃止は)避けられないことだ」

 Zargahi氏はこれに加え、クラウド移行により人員の再配置を進める狙いも明かしている。「データセンターの管理から、製品の差別化につながるような分野にエンジニアをシフトできる」というのだ。

 そうしてUberが選んだのはGoogle CloudとOracleだ。特にOracleにとっては、AWS、Googleという大手と並んで大型契約に食い込む快挙となった。