Infostand海外ITトピックス

対話型AIめぐるドタバタ劇 突き進むビッグテック

右往左往するビッグテック

 MicrosoftとGoogle右往左往させるほどの熱狂を引き起こしたChatGPTも、実は大変なドタバタ騒ぎで始まった。発表されたのは昨年11月30日だったが、OpenAI社内で担当者が指示を受けたのはそのわずか2週間前だったという。

 New York Timesによると、このとき担当者は新言語モデル「GPT-4」の作業を進めており、ほぼ完成段階だった。ところが幹部は、これを後回しにしてGPT3.5ベースのChatGPTをリリースする方針を決めた。

 その結果は周知の通りだ。初めて見たAIの華麗な技に、興奮の渦が巻き起こった。

 しかし、今のAIは、強い自信を持って全くのデタラメを返すことがある。専門家の間で「 hallucination(幻覚)」と呼ばれている現象だ。

 基盤になっている大規模言語モデルは「訓練データから覚えた内容を基に、正解である確率が高い結果を出力する」のであって、真偽や論理を理解しているわけではない。AIは、まだ“人間の代わりができるロボット”ではなく、“極めて見事なものまねをするオウム”と言った方が近い。

 こうした特徴から、ビッグテックは公開に慎重だった。ところが、ChatGPTが大きな反響を呼んだことで、コンシューマー向けサービス投入まで一気に進むことになった。

 まずMicrosoftが決断。あわてたGoogleが社内に「コードレッド」を発して追った。そしてもちろん、Metaや多くのスタートアップ、中国の企業なども続いている。

 AIの熱狂は、まだまだ続きそうだ。