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成長急いだSalesforce アクティビスト投資家のターゲットに

 Salesforceが厳しい状況に直面している。相次ぐ幹部の退社や8000人の大規模人員削減の後に、“もの言う投資家”Elliott Managementが数十億ドル単位で同社の株式を取得したことが報じられた。株価低下のタイミングを突いて経営に介入しようとする動きだ。Marc Benioff氏の下で成長してきた同社に大きな圧力が加わっている。

Elliott ManagementがSalesforce株数十億ドルを取得

 年が変わって、ハイテク企業の人員削減は止まるどころか加速している。Salesforceは年明け早々に全社の10%に相当する8000人のレイオフを発表した。SEC(米証券取引所委員会)に提出した書類では、一部の拠点でオフィス面積も削減するという。

 CEOで共同創業者のMarc Benioff氏は、従業員あてのメモで「コロナ禍で売り上げが加速し、多くの人員を雇いすぎた」と説明している。

 Salesforceは混乱のなかにある。昨年末、Benioff氏の後継者と目されていたBret Taylor氏(共同CEO)や、同氏が買収を主導したSlack Technologiesの共同創業者兼CEO(当時)Stewart Butterfield氏ら、複数の幹部が相次いで辞任することが分かった。そして年明けの大量解雇だ。

 そこにElliott Managementが登場する。Elliottは世界最大級のヘッジファンドで、TwitterやAT&Tなどへの出資で知られる。日本でも東芝や大日本印刷の株式を取得して話題になった。

 Elliottは、企業に出資して経営の建て直しを迫る「もの言う株主(アクティビスト)」だ。割安になった株式を取得して強引な再建計画を進めることでも知られる。Wall Street Journalによると、購入したSalesforce株式は「数十万ドル規模」という。

 Elliottのマネージングパートナー、Jesse Cohn氏は「Salesforceは世界でも傑出したソフトウェア企業の1社」と持ち上げ、「Marc Benioff氏と氏が築いたものに深い敬意を表する」「建設的に協力して、偉大な企業にふさわしい価値を実現したい」とコメントしている。