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対話型AIめぐるドタバタ劇 突き進むビッグテック

Bardのデモなし、誤回答情報で株価急落

 Googleの対話型AI「Bard」は「対話によって複雑なトピックの探求、リアルタイムのコラボレーション、クリエイティブなアイデア獲得ができる」と説明されている。

 同社が2021年5月に発表した対話アプリケーションのための言語モデル(LaMDA=Language Model for Dialogue Applications)を採用した。LaMDAは、Googleが世に出してAIアプリケーションを飛躍させたtransformerモデル「BERT」の進化形にあたる。

 2月8日にパリで開催されたイベント「Google from Paris」では、シニアヴァイスプレジデント(Google Search、Assistantなど担当)のPrabhakar Raghavan氏をホストに40分間、AR、Map、MultiSearchなどのサービスが紹介された。

 その中でBardへの言及は、中盤の約7分間あったものの、内容は前日のブログとほぼ同じ説明に終わり、Microsoftのような目に見える成果の披露はなかった。

 実はBardへの言及が少なかったのには「パリでの発表イベントのわずか数時間前にBardが不正確な回答を出していたことが発覚した」(Reuters)という事情もあったようだ。

 Bardの受け答えの例として公式ブログで公開した「NASAのジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のどんな新しい発見を9歳の子供に伝えられるか?」という質問への答えが、誤っていた。

 Bardが3種類の回答を出し、ユーザーに複数の提案ができるということをデモしたものだが、その一つ「JWSTは、われわれの太陽系外の惑星の画像を最初に撮影した」が、誤りであることが専門家の指摘で分かった。太陽系外惑星の最初の写真は「2004年にヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)が撮影した」が正しい。

 この“誤回答”の報道に市場は失望。親会社Alphabetの株価は急落して、評価額は1000億ドル以上下落した。