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減速するクラウドに投資家は不満 それでも確実に成長

減速の要因と、どう評価するか

 Reutersは、3大クラウドベンダーの決算を分析。カギは、インフレによる企業のコスト増と、金利上昇による消費者需要減退の中での設備投資の動きだと指摘する。特にAWSの成長率の低下について、「AWSの減速は、企業がコスト調整に入った明確な兆候だ」とのInsider IntelligenceのアナリストAndrew Lipsman氏のコメントを紹介する。同氏は「AWSの次の四半期の最終損益はさらに圧迫されるだろう」とも予想している。

 またMercury Researchのアナリスト、Dean McCarron氏は「(企業がシステムやクラウドを多めに構築する)「Build more」の動きが2021年にあり、その後はコーストダウン(coast down=車両の走行抵抗を測定する惰行試験)状態にあった」と分析。活発な企業投資の反動を指摘している。

 この状態をどうみるかだが、Bloombergはオピニオンで、投資家が“過剰反応”しているとみる。クラウドはなお優等生だとの主張だ。

 MicrosoftとAlphabetを取り上げながら、株式市場の低迷、ドル高、迫り来る景気後退の中で、両社が、戦略的に重要な事業で手堅い数字を出していると評価。「しかし、投資家は全てに対して怒りを感じており、不機嫌だ。その不満は理解できるが、それが特に役立つということはない」と記している。

 そして、「広告のような消費者心理に依存するビジネスは景気後退で苦境に陥るという通説」が投資家の過剰反応の理由だとする。その上で、「しかし、クラウドサービスは比較的新しい製品であり、世界的な不況に直面していないため、より強固であるはずだ」「(いまは)より良い選択肢は、実際ないのだから、現状を受け入れることを学ぶべきだ」と説く。