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減速するクラウドに投資家は不満 それでも確実に成長

 テクノロジー各社がそれぞれ第3四半期(7-9月期)決算を発表した。新型コロナの中で堅調に売り上げを伸ばしてきたクラウド大手も、同期は苦しさがにじむ業績となっている。成長は減速し、インフレ、利上げ、ドル高で見通しもふるわない。投資家は失望している。それでもクラウドへの移行は止まらず進んでいきそうだ。

大手3社の四半期決算

 Amazonの第3四半期売上高は前年同期比15%増の1271億ドル、営業利益は48%減の25億2500万ドルで、増収ながら利益は半減した。さらに賃金上昇、エネルギー価格の高騰などが利益率を押し下げ、純利益は9%減の28億ドルだった。

 業績の低迷はECの減速が主要因だが、発表後約2割の株価急落をもたらした投資家の不満は、稼ぎ頭AWS事業の成長率だ。売上高は前年同期比27%増の205億ドルだったが、伸び率は同社が「AWS部門の財務公開を始めた2014年以降で最も低水準」(CNBC)となった。

 一方、Microsoftの第3四半期売上高は前年同期比11%増の501億ドルで、営業利益は6%増の215億ドルの増収増益となった。モアパーソナルコンピューティング、プロダクティビティとビジネスプロセス、インテリジェントクラウドの3部門中、最も成長したのはインテリジェントクラウドで20%増だった。同部門は「サーバー製品およびクラウドサービス」と「Azureおよびその他のクラウドサービス」からなり、Azureの売上高は35%増で悪くないように見える。

 それでも全体の伸び率は減速しており、純利益は14%減の175億ドル。Azure部門の成長率も前年同期(50%)に及ばず、株価は1割近く下落した。

 Alphabet(Google)は売上高690億ドルで、営業利益は18%減の171億ドル。純利益は26%減の139億ドルだった。大黒柱のインターネット広告が3%増にとどまったが、クラウド事業の成長率は38%増で3社の中で最大となった。クラウドでは、より堅調と言えるが、なお7億ドル近くの営業損失を計上していることと、全体に占めるクラウドの割合が1割程度と小さいのが弱みだ。