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ハイブリッドクラウドからエッジへ拡大 Red HatのCEO交代

エッジとAIに注力

 CEO交代は大きな戦略変更につながるのだろうか? ハイブリッドクラウド、マルチクラウドのトレンドを考慮すると、OpenShiftの推進に変更はなさそうだ。

 Hicks氏はVenture Beatのインタビューで、Red Hat Enterprise Linuxで大企業がアプリケーションを動かす基盤を作り、その上で動くOpenShiftはオンプレミス、マルチクラウドプロバイダーと、分散環境で動くワークロードを支えている、と説明している。

 狙うのはエッジとAIだ。Venture Beatによると、Hicks氏は「ハイブリッドクラウドからエッジまで幅広い機能を実現し、それらの技術を長期的にサポートすること」に注力するという。

 実際、Red Hatは3月にNvidiaとの提携を拡大し、NvidiaのAIフレームワーク「Nvidia AI Enterprise」でOpenShiftが認定・サポートされると発表している。これによって、さまざまな業界で深層学習や機械学習を活用できるAIプラットフォームを得られるとしている。

 すでに具体的な動きもある。5月にはGM(General Motors)がRed Hatの車載OS「In-Vehicle Operating System」を自社ソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」に統合すると発表。7月には産業ロボットなどの技術を持つABBとRed Hatが、エッジとハイブリッドクラウドで提携したことも発表している。

 5月の「Red Hat Summit」でHicks氏は、エッジの推進にはパートナーシップが重要と語った。Silicon ANGLEがまとめている。

 「テクノロジーの課題は、そのシフトが非常に速いことだ。エッジソリューションは、パブリッククラウドと同じぐらい魅力的なものになりつつある」「パートナーシップはこのイノベーションの変化を追うものであり、顧客のために機能する正しいモデルをみつけることがわれわれにとってのカギだ」とHicks氏は言う。

 競合は多い。Red Hat Enterprise Linuxでは独SUSE、「Ubuntu」の英Canonicalがあり、OpenShiftではVMware、Docker、Mirantisなどが、それぞれ立ちはだかる。

 社内的にはどうだろう。Hicks氏はCEO就任を報告する社員向けメモで、こう述べている。「Red Hatの成功を当たり前として現状に甘んじることなく、成功のため日々戦うことを前任のCormier氏から学んだ」。CEOとして、心がけることだいう。