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東芝、データセンター向けビジネスを強化、設計から施工、運用まで全体のソリューションをワンストップで提供

 東芝グループは5日、AI需要などにより急拡大するデータセンター向けビジネスについて、専任組織を設置し、東芝グループが持つ多様な関連事業を有機的に連携させ既存の事業範囲から拡大することで、ビジネスを強化すると発表した。

 データセンター設立の計画の段階から、設計、機器・資材提供、建設工事施工、設立後の効率的な運営、データセンターを利用したXaaS(X as a Service、あらゆるモノをサービスとして提供)に至るまで、一連のバリューチェーン全体に対応したソリューションをワンストップで提供する。

 東芝グループはこれまで、データセンター向けに電源設備を中心とした機器・資材提供を行ってきたが、建設工事施工を含め提供範囲を拡大し、データセンターに関わるステークホルダーから求められる種々のニーズに対応していく。

 株式会社東芝は5月1日付けで、新たに「DC事業推進室」を設置した。企画や営業・技術機能を集約し、東芝グループとしてワンストップでデータセンターに関するソリューションを提案する窓口となる。今後、DC事業推進室の人員を増加し、リソースを強化していく。

 また、建設工事施工強化のために、東芝グループでインフラ関連設備などの企画・設計などのエンジニアリングから調達、施工、フィールドサービスまでを一貫して行う東芝プラントシステム株式会社が、2025年7月1日付でデータセンター向けビジネスに対応する専任の組織として「データセンターインフラ推進室」を立ち上げる。データセンター事業推進室の下で関連する事業部やグループ会社が協力し、グループ横断でデータセンター向けビジネスの強化に取り組む。

 東芝グループは、データセンター向けビジネスを中長期的な成長の機会と捉え、かつ市場の需要に迅速に対応するため、具体的な施策に取り組むとともに、データセンターの設立、それに伴う消費電力増加のニーズに応えながらも、カーボンニュートラルの実現に貢献できるソリューションを提供していくとしている。

 データセンター向けビジネスの強化において、東芝プラントシステムは、データセンターに必要な設備のEPCC(Engineering、Procurement、Construction、Commissioning)機能を提供している。データセンターに必要な設備を東芝グループ内外から柔軟に調達し、包括的な施工を請け負う。また、エンジニアをはじめとする一般的な建設リソースの不足に鑑み、東芝グループ内外のパートナーとの協働も積極的に推進していく。

 東芝グループ内の各事業が個別に提供していたデータセンター向けの関連機器・資材を組み合わせ、新設・既設を問わず省エネ、高付加価値を提供する。例えば、東芝の二次電池「SCiB」を搭載したUPSを活用し、VPP(バーチャルパワープラント)を用いて余剰電力を調整電力として活用することや、東芝エネルギーシステムズ株式会社のデジタルプラットフォーム「TOSHIBA SPINEX for Energy」による効率的なエネルギーマネジメントを提供するなど、個々の製品・サービスの強みを組み合わせることで、カーボンニュートラルの実現に貢献できるソリューションとして提案する。

 再エネ・蓄電池のアグリゲーションサービスにより、独自の需要予測・発電量予測・価格予測技術と最適なトレーディング技術を生かして、データセンターの電力需要カーブに応じた再エネの長期安定的な調達を支援する。蓄電池を制御し、風力や太陽光の変動性を抑えることにより、系統にも負担の少ない供給を可能にする。

 これまで発電設備・送変電設備を提供してきた電力会社、再エネ事業者との関係や、ハイパースケーラーと呼ばれる大規模なデータセンター運営事業者にHDDなどを供給してきた実績をもとに、データセンターを設立する側、利用する側のニーズを踏まえて建設、運営の支援を行う。

 さらに、モジュール・ユニット型データセンターについて、新たに設計、製造、施工、保守までを一気通貫したサービスの検討を開始する。また、データセンター間におけるデータ連携を中心としたXaaSを視野に、データセンター利用者の付加価値を拡大するサービスも提案する。

データセンターに関わる一連のバリューチェーン全体に対応したソリューションをワンストップで提供