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サーバー増設が追いつかない クラウドの容量が不足

 クラウドの勢いは止まらない。ハイパースケーラーを中心にクラウドサービスはすます多くの企業に利用され、浸透している。しかし、ユーザーが増えすぎて、提供が追いつかないという例が出てきている。新型コロナ禍の影響、さらにウクライナ紛争までもが影を落としている。

Azureが新規受け入れ不能状態に

 調査報道を得意とするテクノロジーメディアのThe Informationが7月1日付で、「Microsoftのクラウドが世界的なリソース不足に苦しんでいる」と報じた。Microsoftの現職マネージャー2人と大手顧客のエンジニア1人の証言を元にしたもので、世界にある20以上のAzureのデータセンターは現在、顧客に提供できるサーバーの容量が制限された状態にあるという。

 背景には、新型コロナを受けてビデオ会議やサービスの利用増加が続き、サーバーの増設が追いつかないという状況がある。The Informationは、お膝元のワシントン州のほか、ヨーロッパやアジアなど6つ以上のAzureデータセンターで来年初めまでサーバーの容量制限が続く見込みと伝えている。

 またAzureのリソース逼迫(ひっぱく)には、さらに別の事情も重なっている。翌7月2日、今度は英Telegraphが英国にある2つのデータセンターリージョンが、新規顧客を受け入れられない状態にあると報じた。

 Microsoftは今年2月、ロシア軍の進攻を受けてウクライナ政府への全面支援を打ち出し、同国政府の全デジタルインフラをAzureの欧州データセンターに受け入れている。これがAzureのサービスを圧迫しているというのだ。

 Microsoftの広報担当者はTelegraphに容量の問題を認めた上で、「過去2年間、クラウドコンピューティングに対する需要が前例のないほど伸びた」と説明している。

 クラウドの容量不足で特定のベンダーの名前が出た例は他にないようだが、こうした問題はAzureだけのものではない。