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VMwareを610億ドルで買収 ソフトウェアを強化するBroadcom

 通信向け半導体大手のBroadcomがVMwareを買収すると発表した。VMwareは半年前にDell Technologiesからスピンオフされたばかり。買収額は約610億ドルで、今年のテクノロジー業界ではMicrosoftのActivision Blizzard買収(687億ドル)に次ぐ規模となる。両社の動きをめぐっては、先週週明けからメディアが伝えていたが、一気にまとまったようだ。

大型買収報道から一気に発表へ

 「データセンターからクラウド、エッジコンピューティングまで、実行環境に関係なく、多様な分散環境において、大規模なアプリケーションの構築、実行、管理、接続、保護の選択肢と柔軟性を高められる」。Broadcomはプレスリリースのなかで、両社の組み合わせがもたらすものを、こう説明している。

 合意内容では、BroadcomがVMware株式1株あたり142.5ドルを支払う。取引は現金と株式で行い、VMwareの80億ドルの負債もBroadcomが引き受ける。買収完了はBroadcomの2023会計年度(2023年10月終了)内を見込む。Broadcomのソフトウェア事業部はVMwareとしてリブランドする計画だ。

 Broadcomはソフトウェア事業に拡大中だ。メインフレーム管理のCA Technologies(2018年)、セキュリティのSymantecエンタープライズ事業(2019年)などの買収を行ってきた。実現はしなかったものの、2021年にはアナリティクス大手SAS Instituteの買収も試みている。

 BroadcomがVMwareを買収するというニュースは5月23日、BloombergやWall Street Journalなどが一斉に報じていた。発表はその3日後だ。

 Financial Timesによると、この買収劇のキーパーソンはBroadcom CEOのHock Tan氏と、Michael Dell氏の2人だった。VMware株式の4割はDell氏が保有しており、取締役会長も同氏だ。

 事情通の証言では、Tan氏がDell氏に接触したのは発表の2週間前。Dell氏の自宅を訪問し、VMwareを買いたいと申し入れた。Tan氏は数日後には320億ドルを調達するために銀行を呼んだという。電撃的なスピードだったわけだ。