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相次ぐ解雇、採用凍結 テクノロジー業界のメルトダウン

 テクノロジー企業のリストラが相次いでいる。4月以降、多くのテクノロジースタートアップが相次いで従業員を削減している。金利上昇、急激なインフレ、経済の不確実性が、資金の流入に急ブレーキをかけ、米ハイテク業界は資金調達の困難から計画の見直しを迫られている。“メルトダウン”とも呼ばれるほどの厳しい状況だ。

スタートアップにリストラの嵐

 レイオフが目立ち始めたのは4月下旬ごろだ。4月26日、株取引アプリのRobinhoodが、正社員の9%にあたる300人を解雇すると発表した。同社は2013年の設立。フィンテック分野のユニコーン(評価額10億ドル以上の未公開企業)となり、2021年7月にIPO(新規株式公開)を果たしている。

 2020年以降は、低金利、景気刺激策を背景に飛躍的に成長し、従業員を6倍近い約3800人まで増員した。しかし、今年に入って業績が急激に悪化し、売上高は半減。「業務の効率化し、迅速化のため」レイオフを決断したという。

 Robinhoodだけではない。ベンチャーデータベースのCrunchBaseは、発表や報道などから主なレイオフをまとめているが、そのリストは約60件になっている。

 例えば、駐車場を活用したフードデリバリーのReef Technologyが5月6日、750人(従業員の5%)を削減すると報じられた。同社にはソフトバンクが出資している。また5月10日には、オンライン中古車販売のCarvanaが2500人(同12%)を削減すると伝えられている。

 ベンチャーキャピタル(VC)も警戒を強めており、シリコンバレーの最も有名なアクセラレーターY Combinatorは5月中旬、出資先の創業者たちに「最悪の事態に備えて計画する」よう書簡を送った。

 TechCrunchが入手した「Economic Downturn」と題したY Combinatorの書簡では、「景気が、どの程度悪くなるかは誰にも予測できないが、状況は良くなさそうだ」「最悪の事態を想定して計画を立てること」「技術系企業の公開市場のパフォーマンスの低さは、VCの投資に大きく影響することを理解してもらいたい」などと述べている。