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VMwareを610億ドルで買収 ソフトウェアを強化するBroadcom

「VMwareが買収されるのは時間の問題だった」

 50万社の顧客を抱えるVMwareだが、ここ1~2年は激動に直面している。同社のクラウド、コンテナ時代の戦略を率いてきたPat Gelsinger氏が2021年2月に退任(IntelにCEOとして復帰)。同6月にベテランRaghu Raghuram氏がCEOを継いだものの、COOのSanjay Poonen氏が退職した。Dell Technologiesからのスピンオフ完了を発表したのは半年前の2021年11月だ。

 Next Platformは「DellがVMwareをスピンオフしたあと、誰かが同社の買収資金を集めるのは時間の問題だと金融業界では考えられていた」と指摘する。

 Gelsinger氏の復帰もあり技術面での相性も良いのがIntelだったが、資金力が足らなかった。また、AMD、Arm、NVIDIAなどはそれぞれの事情で踏み出すことができなかった。そんななかで、「迷いがなかった」のが、BroadcomのHock Tan氏だという。

 Tan氏にしてみれば、絶好のチャンスだ。Broadcomは2018年、Qualcommを1300億ドルで買収しようとした。しかし、Broadcomがシンガポール籍だったことから外国企業の買収を阻止するTrump前大統領の大統領令で、苦汁をなめた。

 現在、Broadcomは米サンノゼに拠点を移している。そして、ここ数カ月でハイテク株が暴落。2月には135ドルを超えていたVMwareの株価は、5月中旬には93ドルまで下がっていた。環境は整い、Tan氏は機会を見逃さなかった。