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完全人型ロボット「Tesla Bot」発表 Musk氏は本気か?

「Elon最大のバカなアイデア」

 Tesla Botのニュースは世界を駆け巡り、イベント動画の再生回数は、あっという間に150万回に達した。だが、「未来はここにある」(USA Today)のような期待派ばかりではなく、懐疑的な見方も噴出した。

 The Vergeは「考えすぎるな。Elon MuskのTesla Botはジョークだ」と見出しを掲げ、「こうした『おとり商法』(bait-and-switch)は、Musk氏の常套手段だ」と一刀両断した。

 セントラル・ランカシャー大学のロボティクスエンジニア講師Carl Berry氏は、The Vergeに「(Tesla Botを)“ばかげている”と呼ぶのすら寛容だ」と述べている。

 同氏によると、ロボットとAIを製造現場に投入するなら、複雑なものでなく、可能な限りシンプルな機械でなければならないという。そして、Musk氏の発表は「ロボット工学が、今できること、何年も先にできるであろうことについて、非現実的な期待を抱かせる」と批判する。

 The Next Webは「ロボティクスはAIだけではない」と念を押す。もし、Teslaに、1992年創業のBoston Dynamicsレベルのロボットを作る技術があったとしても、特定の作業を行うロボットと、建物の間を自在に移動するロボットは、まったく違うとする。そしてTesla Botは「Elon史上最大のバカなアイデア」と酷評した。

 Bloombergも「Musk氏はSF的なマーケティングに依存して、Teslaの将来について株主と顧客を困らせる」と企業の信頼度の面から批評。過去にも、2016年に発表したものの、いまだフル機能に至っていない「Solar Roof」や、その前に立ち消えになったバッテリー交換技術などを挙げる。

 その上で、Musk氏には“口先”が多いとも指摘した。長期的には約束を実現することで、信頼を保ってきたと認めるが、今回は「5本の指が必要なのか?」などの質問にきちんと答えなかったことに疑問を投げかけている。