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企業アプリケーションを変える ノーコード/ローコード開発の台頭

 「ノーコード、ローコード」開発が現実的な選択肢になってきた。今年2月に入ってERP大手のSAPがノーコード技術ベンチャーを買収した。メディアでも関連の解説、動向記事が頻繁に出ている。この隆盛の背景には、DXを急ぐ企業がアプリを迅速に構築したいというニーズがある。ノーコード/ローコードはアプリケーションの世界を変えていくのか。

「2023年までに中大企業の半数以上が採用」

 アプリケーションの構築は通常、多数のコード作業(プログラミング)を伴い、プログラミング言語、開発ツールなど専門知識やスキルが必要となる。これに対し、ノーコード開発、ローコード開発は、「プログラミングが不要」(ノーコード)、「多くのコードを書く必要がない」(ローコード)という開発手法だ。

 Gartnerは昨年、「2023年までに中・大規模企業の50%以上が、自社の戦略的アプリケーションプラットフォームとして、『LCAP』(Low Code Application Platform)を採用する」との予測を発表した。Forrester Researchも2021年の予測レポート「Predictions 2021」で「ローコードプラットフォームの採用が加速し、チーム組織が変わる」との項目を挙げていた。

 ベンダーの動きも最近、活発になっている。例えば、SAPは2020年12月の「SAP TechEd」で、ノーコード/ローコードツール機能を提供して、誰でもがプロセスの自動化などをできるようにする戦略を打ち出した。既に、社内ベンチャーとして育成した「SAP Ruum」などの技術を持っており、自社RPA技術で、テンプレートを使った開発作業の自動化などができると説明する。

 そして2月、フィンランドのノーコードプラットフォームAppGyverを買収。「コードスキルなしにWebとモバイル向けにアプリケーションを構築できる」と売り込んでいる。

 クラウド大手もそれぞれ自社のプラットフォームを推進している。Googleは昨年、ノーコード開発プラットフォームのAppSheetを買収して「Business Application Platform」を発表。Microsoftには「Microsoft Power Platform」、AWSには「Amazon Honeycode」(現在ベータ版)のサービスがある。

 分野別では、Webサイトの「WordPress」「Wix」「Squarespace」、データベース管理の「Mendix」「Airtable」、統合自動化の「Zapier」「Parabola」、ECサイトの「Shopify」などが、このカテゴリーの有名どころだ。