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企業アプリケーションを変える ノーコード/ローコード開発の台頭

大幅な生産性向上を実現するが欠点も

 ノーコード/ローコードがここに来て急速に注目を集めているのには、いくつかの背景がある。まずリモート開発へのニーズだ。

 GartnerのリサーチバイスプレジデントFabrizio Biscotti氏は、今年2月の世界のローコード開発技術市場レポートで、新型コロナ禍でリモートからの分散型開発が増えていることを示しながら、「ローコードのアプリケーション開発は新しいものではないが、デジタル化による破壊、ハイパーオートメーション、コンポーザブルビジネスの台頭が合わさり、ツールの流入と需要増が起こっている」と述べている。

 他方、デジタル化を急ぐ企業からは、新しいアプリケーションを迅速に開発することが求められている。Gartnerによると、既に、非IT部門社員の41%がデータやテクノロジーソリューションのカスタマイズや構築を行っているという。そして2025年までに、ローコードの新規利用者の半数が非ITのビジネス部門になると予想している。

 では、ノーコード/ローコード開発にはどれほどの効果を期待できるのだろう。Khosh ConsultingのチーフサイエンティストSetrag Khoshafian氏が、Venture Beatへの寄稿で解説している。

 それによると、Khoshafian氏が2017年に参加した従来型開発(Javaを使用)と、モデル駆動型のノーコード/ローコード開発プロジェクトとの比較ベンチマークテストでは、後者の生産性が前者の5倍から7倍に向上したという。また、2020年のNo-Code Censusの調査で伝統的プログラミング手法の4.6倍の生産性向上が示されたことも紹介している。

 一方、ノーコード/ローコードのトレンドをCIO(最高情報責任者)の視点からまとめたInformation Weekの記事は、その欠点も指摘する。

 ノーコード開発ツールの一つをプレビューしたところ、クリック操作でデータを取得してグラフ化や自動要約までを5分で実行し、快適なものだったと評価する。その一方、「ツールがサポートしていないデータは使えない」「他のシステムにデータを統合できない」「必要なビジネスロジックが挿入できない」ということがよくない点だったとまとめている。

 このほかTechTargetは、「バグの発見が難しい」と指摘。「プラットフォームの持つスピードとシンプルさのため、ビジネスリーダーは、誤ったシンプルさの感覚に陥りやすい」とも警告する。