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締め出されるHuawei 深まる米中対立で5Gインフラへの影響も

 Huawei Technologiesと米国の対立が新しい段階に入った。米政府は同社へのさらなる制裁を発表。英国は、従来の方針を転換してHuaweiの機器の承認を見直している。またカナダの通信事業者の調達でもHuawei機器を外す動きが出ている。Huawei機器で構築するはずだった5Gで再考を余儀なくされている。

米国が禁輸措置をさらに強化

 Huaweiに対する禁輸措置の発表から1年にあたる5月15日、米国政府はさらなる強化を発表した。昨年の制裁は、Huaweiと系列企業を「エンティティリスト」に入れて、米国企業の製品の同社への輸出を禁じるというものだった。

 新たな制限は、米国外で製造される半導体についても、米国製製造装置で製造したものは輸出できなくするというものだ。Huaweiが米国外の企業を経由することで規制を回避しているとの判断からで、輸出には米商務省の許可が必要になる。

 「1年前のエンティティリスト追加にもかかわらず、Huaweiと同社の子会社は現地化の取り組みを通じて国家安全保障にかかわる規制を弱体化させた」と米商務省は述べている。

 新しい措置の一部として、米国のソフトウェアを用いてHuaweiと同社の半導体子会社HiSiliconが米中以外で回路設計をすることにも、同省の許可を要するようになる。

 Huaweiは1年前の禁輸措置を受け、台湾の半導体受託生産のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)の半導体技術で製品を確保してきた。新しい規制で、TSMCのような企業はHuaweiに製品を供給できなくなる。

 そのTSMCは同じ日、アリゾナ州に半導体の新しい製造拠点を構築する計画を発表している。投資額は120億ドルで、米政府の支援も受ける。Nikkei Asian Reviewは18日、TSMCがHuaweiからの新規受注を停止したと報じている。禁輸措置と関係あるとみるのが自然だろう。

 米国の追加制裁によって、Huaweiに対する半導体の供給は事実上、断たれることになる。直後に本拠地で開催したアナリスト向けイベントで、同社輪番会長のGuo Ping氏は「生き残るための策を見つける」と言明した。

 だが、Huawei排除の動きは他国にも波及しており、同社はさらに厳しい立場に追い込まれそうだ。