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Facebook分割論浮上 リークで分かったZuckerberg氏の心中

社内ミーティングを公開

 一方、Zuckerberg氏の発言に、Warren議員はただちにTwitterで反応。「Facebookのような巨大企業が独禁法に反する活動を行い、コンシューマーのプライバシー権を踏みにじり、民主主義を保護する責任で繰り返しヘマをする――。このような崩壊したシステムを修正しないことこそ“最悪の事態”だ」と非難した。

 その後も「#BreakUpBigTech」というハッシュタグとともに、「Facebookのような大手テック企業」が「市民のデジタル生活をコントロールし、競争を阻害している」と、分割を主張するツイートを続けている。

 このような流れに、Zuckerberg氏はどう対応したのか? リーク記事から2日後、Zuckerberg氏は1時間の社内ミーティングをFacebookでライブストリーミングするという行為に出た。堂々とあけっぴろげにするという選択だ。

 このとき、リークについて「外部で話をするときよりもフィルターのない形で話をしたかもしれないが、根本では発言内容は自分が信じていることだ」と説明。Warren議員については「彼女をこれ以上、敵に回さないようにしよう」と述べたほか、大統領選についてのコメントではないと強調している。

 この社内ミーティングを社外に公開するという対応は、好意的に受け入れられたようだ。

 Forbesは「社内の会話をリークした従業員に対する、ありえないぐらいスマートな兵法だ」と述べ、「それだけでなく、Facebookが閉鎖的な企業で、世界中に影響するような意思決定を密室で行っているという批判を覆すものだ」と称賛した。

 Business Insiderは、少し前のGoogleの対応と比べた。同社が中国市場に再参入する計画が持ち上がった社内ミーティングがリークした時、従業員の多くは激怒した。

 Googleはその後ミーティングについて新しいルールを設け、創業者のLarry Page氏(CEO)とSergey Brin氏は、その数カ月間、ミーティングに参加しなかったという。これに対し「非公開のミーティングをシェアしようというZuckerberg氏の行為は素晴らしい」(Business Insider)と評価する。

 今回の対応は近年、“大人の対応”ができるようになったと言われるZuckerberg氏の面目躍如ともいえそうだが、Facebookの抱える課題がそれで解決したわけではない。巨大になり、大統領選にも影響を与えるほどの力を持つという同社には、大きなプレッシャーが続く。

 Trump氏の弾劾調査で混迷する大統領選に向け、民主党候補者氏名争いのトップを走るWarren上院議員がGAFA分割を実現させる可能性は十分にある。Google、Amazon、Appleは沈黙を守っているが、戦々恐々というところだろう。