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ビジネスチャットのSlackが上場へ その期待と課題

上場、そして上場後の課題は

 6月20日に予定されている株式公開で、Slackは「直接上場」という形式をとる。2018年春にSpotifyが採用して話題になった方法で、投資銀行など仲介する金融機関なしに株式を販売するものだ。Wall Street Journalによると、そのメリットは「投資銀行に払う手数料を削減できる」ことで、デメリットは「株価が急変する市場感の影響を直接受けることになる」という。

 Slackの上場は、このところ続いているハイテク企業のIPOの流れに続くものとなる。だが、Uber、Lyft、ビデオ会議サービスのZoomなどがこの春相次いで上場したものの、結果はいまひとつだった。Slackは成功できるのだろうか?

 Palihapitiya氏はSlackを手放しで持ち上げるが、Wall Street Journalは厳しい目を向けている。営業損失が出ている同社に対し黒字化へのプレッシャーは避けられないとしながら、それよりも大きな懸念として「有料ユーザーの増加が鈍化していること」を挙げる。

 「フリーミアムモデルは、エントリーレベルの製品への新規顧客の獲得には有効な手段」だが、最新の有料顧客数の増加率は8.6%、これは前7四半期平均の増加率である11.2%を下回っていると指摘した。

 Slack幹部は投資家向け説明会で、新規顧客獲得の重要性を強調するとともに離脱の少なさを強調した。その上で、「(上場して)顧客獲得から利益を上げることが投資家には重要になる」とした。

 もちろんライバルもじっとしていない。Quartzは競合のMicrosoft「Teams」の好調を伝えている。それによると、Slackのユーザーが中小企業中心であるのに対し、TeamsはFortune 500中の91社が利用するなど大企業顧客が多いという。その採用企業・組織は20万を超えており、2017年の5万から4倍に成長している。MicrosoftはTeamsのユーザー数を開示していないが、「Microsoftの歴史で最も急速に成長しているアプリ」という。

 Quartzは「Slackが競争優位を保つには、汎用の生産性ツールを目指すのではなく、特定のプロセス、役割、産業にフォーカスしたコラボレーションアプリケーションにする必要がある」とのアナリストの意見を紹介している。