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ビジネスチャットのSlackが上場へ その期待と課題

 企業向けチャットプラットフォームのSlackがいよいよ株式公開する。“電子メールを置き換える存在”ともいわれるSlackだが、そのポテンシャルはどれくらいのものだろうか。最近のハイテク株公開では、UberやLyftがふるわなかったこともあって、次の大物であるSlackへの期待が高まっている。果たして市場をわかせることができるのだろうか――。

副産物が主力製品になった

 「Slack」は、メッセージツールとしてスタートして、まず開発者の人気を獲得。その後、ビジネスユーザーに広がっていった。開発するSlack Technologies(当初は「Tiny Speck」)は、Flickrを開発したStewart Butterfield氏らが創業した企業で、もともとはゲーム開発の会社だった。

 その業務のため、地理的に分散している開発者がやり取りするためにつくった技術がSlackになった。結局のところ、ゲーム開発の方は不振で諦めたのだが、“副産物”のチャットサービスを、Butterfield氏らが主力製品に仕上げて成功したというユニークな経緯がある。

 Slackは「ワークスペース」というコミュニケーション空間を持ち、テーマやグループごとのチャットルームにあたる「チャンネル」を使い分ける。ダイレクトメッセージ、オリジナル絵文字などの機能もあり、Gmail、Google Drive、Outlook、Jira、Salesforceといったサードパーティのサービスとの連携もできる。

 ビジネスモデルはフリーミアムモデルをとる。基本的な機能を無料で提供しながら、メッセージ検索、セキュリティ、ビデオ会議など企業などで必要な機能を有料限定で提供している。

 そのSlackが設立10年目にしてIPOする。うわさは2018年秋から広がり、今年1月にGoldman Sachsを主幹事に選んだと報じられていた。4月26日に米証券取引所(SEC)に提出した「Form S-1」(証券登録届出書)では、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場申請する予定。ティッカーシンボルは「SK」だ。