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ビジネスチャットのSlackが上場へ その期待と課題

「Facebook級のインパクト」

 SECへの届出からは、これまでベールに包まれていたSlackの実態について、いくつかの数字が判明した。まずユーザー数は、デイリーアクティブユーザーが世界150カ国以上に1000万人以上。利用している企業・組織は60万超に上るという。就業日のアクティブな利用時間は90分以上としている。

 財務面では会計年度2019年(2018年2月~2019年1月)の売上高が4億55万ドルで前年の2億2054万ドルから82%増と2倍近い増加を記録。損益は1億3890万ドルの純損失で、前年の1億4006万ドルの損失からやや改善した。有料ユーザーは、8万8000で前年(5万9000)からの増加率は49%。前々年から前年の増加率は59%だった。

 Slackのミッションとしては「人々の仕事生活をシンプルに、より楽しく、より生産性があるものにすること」を掲げている。Slackの役割を端的に説明するものとして、「組織内で電子メールを置き換える」「電子メール(またはインターネット、電気)のように、Slackの適用は汎用性があり、幅広い」と今後の成長性を説明した。

 そのSlackの取締役会メンバーのSocial CapitalのCEO、Chamath Palihapitiya氏は、Form S-1提出後の4月末、CNBCに登場してSlackを手放しで称賛した。

 Palihapitiya氏は、共同創業者兼CEOのButterfield氏をはじめとするSlackの組織を高く評価。Butterfield氏は「最初から“アイコニック”なCEO」で、「製品を高いレベルで理解している」と述べ、さらに「未公開企業でFacebookのようなのはSlackだけ」と言い切った。Palihapitiya氏はFacebookの幹部を務めたこともある。

 ただし、Palihapitiya氏の発言は、企業がForm S-1提出に情報をメディアに出してはならない「沈黙期間」の規定に抵触する恐れがある。このため、Slackは自社が承認したものではない、とSECに報告している。