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ゲーム業界に寄せるクラウドの波 Microsoftとソニーが提携

 Microsoftとソニー、家庭用ゲーム市場で争ってきた両社が突然、同市場での提携を発表した。関係部署のソニーの社員さえ知らなかったという大転換の背景にあるのは、クラウドだ。ゲーム業界の巨大プラットフォーマーである両社の動きが意味するものは。今後の展開は――。

提携の直接の引き金はGoogle

 2001年にMicrosoftが米国で「Xbox」を発売して以来、同社とソニーは約20年間も激しく争ってきた。5月16日に発表した覚書締結のプレスリリースでは、ソニーの吉田憲一郎社長兼CEOとMicrosoftのSatya Nadella CEOが笑顔で握手している。

 プレスリリースによると提携は、(1)ゲーム体験のための新しいクラウドベースのソリューション、(2)半導体とAIソリューション、と2つの柱を持っている。

 とりわけ、(1)のクラウドベースのソリューションが目を引く。両社は「それぞれのゲームとコンテンツストリーミングサービスをサポートする『Microsoft Azure』ベースの将来のクラウドソリューション開発を共同で進める」と記している。つまり、ソニーはクラウドゲーミングのインフラとしてAzureを選んだということになる。

 ゲーム業界は現在、クラウドへの緩やかなシフトが始まったところだ。これまでのような専用ゲーム機(コンソール)でゲームタイトルを動かすのではなく、クラウド経由で配信するというもので、データセンターやネットワーク(特に5G)の発達によって格段に障害が低くなってきた。

 クラウドは音楽、映画、配車とさまざまな業界で、新規参入や新しいビジネスモデルを可能にし、勢力図を塗り替えてきた。ゲームも例外ではない。

 ソニーとMicrosoftがここで意識しているのはGoogleだろう。Googleは今年3月、クラウドゲーミングサービス「Stadia」を発表している。クラウドゲーミングでは専業の事業者もあるが、GoogleのネームバリューとYou Tubeブランド、技術力を考えると、クラウドゲーミング市場が一気に離陸する可能性がある。

 Bloombergは「ソニーはクラウドのトレンドとGoogleに脅威を感じた」(日本の金融市場に詳しいAsymmetric AdvisorsのAmir Anvarzadeh氏)との解説を紹介している。