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IBMのクラウド戦略にチャンスか インド首位のモバイルキャリアと大型契約

ハイブリッドクラウドの真価を示すとき

 IBM側からはどうだろう。Business Insiderは、AWSやMicrosoftの後塵を拝してきたIBMにとって、この契約はAIやクラウドでの力を示すチャンスとみている。

 IBMは昨年、340億ドルを投じてRed Hatを買収すると発表。ハイブリッドクラウドで世界のトップを目指すと宣言した。同市場は「2020年に1兆ドル規模になる」(CEOのGinni Rometty氏)と期待をかける。

 現時点のIBMのハイブリッドクラウド戦略について、IDCのアナリストDeepak Mohan氏は「ハイブリッドは、IBMの新しいポジショニングの強力な側面だ。特に『IBM Cloud Private』と『Watson Anywhere』にフォーカスしている点は大事だ」とBusiness Insiderに述べ、同社のクラウドブランドが確立してきたと評価している。

 もう一つ期待できる要素が、IBMと欧州の本家Vodafoneが今年1月に発表した合弁のベンチャーだ。両社が共同でつくるベンチャーは、複数クラウドの統合に必要な技術を顧客に提供し、AIや5Gの新しい技術やサービスを開発するという。今年前半に立ち上げる計画だ。

 これまでReliance Jioが一方的に攻めてきたのは、“後発の優位”で、システムにクラウドと仮想化をフル活用した部分が大きい。逆に2Gまで抱える先行事業者は不利だった。今度は、Vodafone IdeaがハイブリッドクラウドとAIを活用してVodafone Ideaが巻き返しを図るという形だ。

 ハイブリッドクラウドは複数のクラウドをつなぎ合わせて効率化するのが得意でもある。Vodafone Ideaは、クラウドでネットワーク管理コストを引き下げ、サービスの立ち上げや、競争への対応を迅速・柔軟にしたいと考えている。成功すれば、IBMの大きな実績となりうる。インドの戦いは苦しいものだが、IBMにとっても重要なものとなるだろう。