Infostand海外ITトピックス

IBMのクラウド戦略にチャンスか インド首位のモバイルキャリアと大型契約

インド携帯市場のし烈な戦い

 人口13億のインドの携帯市場は中国に次ぐ世界第2位の規模だが、激しい競争で混沌としている。モバイル事業者はかつて10社を超えていたが、わずか2年ほどの間に主要3社にまで再編されてしまった。後発で参入したReliance Jio Infocommが仕掛けた猛攻の結果だ。

 Reliance Jioは、石油化学を中心とするコングロマリットReliance Industries(RIL)グループの通信事業者で、2016年に4Gで商用携帯電話サービスを開始。翌2017年に「Jio Phone」と呼ぶ機能を絞った格安のフィーチャーフォンを発売して旋風を巻き起こした。

 その戦略は、“無料”サービスだ。ユーザーは契約時に保証金(1500ルピー=約2400円)を払うが、3年後に端末を返却すると全額返ってくるという仕組み。月額基本料金も153ルピー(約240円)と低く抑え、それまで携帯電話に手を出せなかった層を取り込んだ。

 Jioは、携帯電話サービスの価格破壊をもたらしたが、他の携帯事業者は利益率の低下に苦しみ、疲弊していった。その結果、Tata財閥系のTata Teleservices(TTSL、2014年までドコモと合弁)や、Reliance Networkのような大手も撤退を余儀なくされた。Vodafone Ideaが合併で誕生したのも、コスト削減と合理化を狙ったもので、生き残りをかけた戦いだ。

 インド電気通信規制庁(TRAI)の統計によると、2019年2月現在の携帯契約者数は約11億8000万。各社別では、トップのVodafone Ideaは約4億937万、2位のBharti Airtelが約3億4031万、3位のReliance Jioが2億9723万という順番だ。前月からの変動ではJioが約779万の増なのに対し、Vodafone Ideaは約579万の減となっている。

 ちなみに、Reliance Networkが属するReliance ADA Groupと、Reliance Jioが属するRILはもともと一つのコングロマリットだったが、先代総裁だった父の死去のあと、兄弟が支配権を巡って争い、兄のMukesh Ambani氏のRILと、弟のAnil Ambani氏のReliance ADAにグループを2分割したという因縁がある。