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企業の活用広がるチャットボット 利用シーンとその市場性

 企業のチャットボット利用が進んでいる。AIを活用した自動応答処理は急速に進化しており、生身の人間に遜色(そんしょく)ないようなチャットボットも生まれている。メリットを実感しているという事例も増えており、さらに普及してゆくことは間違いなさそうだ。IBM、Microsoft、Googleなどおなじみのベンダーに加え、この市場を狙う新興企業も出てきており、市場も活気づいている。

チャットボットで時間とコストを削減

 チャットボットは、数年前から特に脚光を浴びるようになった。Facebook Messenger、日本で普及しているLINE、欧州に多いTelegram Messenger、ビジネスや開発者を狙うSlackなどのサービスにボットが登場し、消費者に身近な存在になってきた。さらにチャットボットは、自然言語処理(NLP)や分析、ルール定義などの技術を利用して、インテリジェントな対応ができる。

 企業側からみると、1年365日24時間無休で即座に顧客の問い合わせやリクエストに応え、その数が膨大になっても対応可能という利点がある。また、複数のシステムを一つのインターフェイスに統合して自社Webサイトに組み込むこともできる。

 いち早く取り入れているのが、顧客サービスやカスタマーケアなどの分野だ。直接的な効果も表れているという。Juniper
Researchの調査では、ヘルスケアや銀行が顧客の問い合わせにチャットボットを利用した場合、平均して4分の時間節約が可能であることがわかった。金額にすると、問い合わせ1件あたり50セントの節約にあたるとしている。

 この調査を紹介したForbes.comは、保険、ヘルスケアの事例を紹介している。例えば、イスラエルのK
Healthは保険会社から取得した20年分、250万人分の患者の記録をデータベースにチャットボットを構築。ユーザーにチャットを通じて情報を提供し、医師の面談を減らすことに成功しているという。

 医師が直接応対するには相応のコストがかかるが、実際は、面談を希望する患者の50~80%は医師に会わなくても問題を解決できるレベルというのだ。

 マーケティングの視点でチャットボットを分析したAdWeekは、コスメのSephoraが、ユーザー向けにパーソナライズしたレコメンデーションをメッセージサービスのKik経由で提供して、チャットで会話しながら商品購入ができるようにした事例を紹介している。