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企業の活用広がるチャットボット 利用シーンとその市場性

活発化するチャットボットベンダーの動き

 Grand View Researchの2017年の報告では、世界のチャットボット市場は年平均24.3%増で成長し、2025年には12億5000万ドル規模に達する見込みだ。応用先としては、サービス、ソーシャルメディア、決済と注文処理、マーケティングなどを挙げている。専門メディアのChatbots Magazineによると、オンライン小売、ヘルスケア、通信、銀行、財務アドバイス、保険、自動車ディーラーの順で導入が進んでいるという。

 このおいしい市場を狙って、IT大手も製品をそろえている。IBMは「Watson Assistant」(旧Watson Conversation)、Microsoftは「LUIS(Language Understanding Intelligent Service)」、Amazon Web Servicesは「Lex」、Facebookは買収したWit.aiを持つ。

 Googleは今年5月の「Google I/O」で、AIが電話を受けて対話し、予約受付などができる技術「Duplex」を披露した。7月にはこの技術を採用したサポートセンター向けサービス「Contact Center AI」を発表。デモでは、顧客からの商品の返品要求に応じて、人間の担当者に引き継ぐといった業務をこなして見せた。

 また、チャットボットの専業ベンダーでは、Nuance、Kore.ai、Next IT、Rasaなど日本を含めて世界中に多くのベンチャーが生まれている。

 最近では、B2BのAIナレッジベース技術ベンダーTallaが主力製品「Talla Intelligent Knowledge Base」の最新版をリリース。既存の企業WebページやコンテンツからFAQや製品情報などを取り出してチャットボットが利用する機能を盛り込んだ。

 Tallaは当初、人事、ITヘルプデスク向けでスタートしたが、顧客サービス向けのニーズが高かったことから範囲を拡大したという。これを紹介したTech Crunchは「顧客サービスは多くの企業にとって重要なポイントだ。一度でも悪い体験をすると、ブランドに対するイメージに傷がつく」と、市場性とともに、クリティカルな面を指摘している。