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Facebookの個人情報提供問題 データビジネスのあり方に一石

データビジネスの隆盛と寡占化

 今回の問題のポイントは2つある。一つは「SNSデータを使って人を操ることが可能である」こと、もうひとつは「そういうデータが誰にも簡単に入手できた」ことだ。

 告発したWylie氏は「ユーザーの政治的見解に合わせたターゲット広告は可能」と証言。CAを「プロパガンダ製造マシン」と呼んだ。ただし、実際にどれくらいの効果があるのかまでは、具体的には分かっていない。

 データ入手の容易さはどうか――。CAに渡ったデータは、元々、Facebookが漏えいしたのでも、CAがハッキングしたものではない。正規の手続きでKogan教授が収集したものだ。それがCAに不正に提供されたことが問題になったが、その前段階まではFacebookでは普通のことだった。

 The Slateは「このスキャンダルの原因は、CAに“闇の悪事”を許したことではなく、誰でも(データ収集)できると明示的に許したことだ」と言う。その背景にあるのは「世界中の人々が、日常的にオンラインサービスの無料提供と引き換えに個人情報を差し出す」ことで成立するビジネスモデルであり、それはFacebookが切り開いてきたものだとする。

 Guardianは「個人情報は集計することで巨額の価値を生む」とデータビジネスの現状を説明。Googleの親会社Alphabetは760億ドル超の企業価値があり、大部分は広告や情報の取り込みで得たものだと指摘する。また、Facebookは今回の株価下落のあとも4750億ドルの企業価値がある。

 そして、大量の個人データが、数社の企業に独占されている状態を憂慮しながら、こう結んでいる。「データがパワーと金に結びつく世界では、誰がそれを保持しコントロールしているのか、われわれは問いかけてゆくべきだ」