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AIの覇権を握るのは? 台頭する中国と警戒する米国

中国のAI投資に警戒

 米中のAI覇権争いの報道では、政治的な展開を伝えるものもある。Reutersは、対米外国投資委員会(CFIUS)が中国の米国へのAI投資に警鐘を鳴らしていると報じた。米国で開発された最先端技術を使って、中国が軍の機能の強化や、戦略的産業のリードを得るかもしれない、と危険視している。New York Timesも中国マネーが米国のAI企業に注がれていることを危惧する国防省の声を伝えていた。

 これにはトランプ政権への警告の側面もある。AI研究予算の削減や移民締め出し政策は、中国に追い風となっているという。New York Timesは米国の研究機関で活躍しているのは主に中国のAI研究者だと指摘するが、Lee氏によると、トランプ政権で移民政策が不透明になったため、米国から優秀な人材が中国に戻ってきているという。

 New York Timesは最後に、中国政府によるAI推進が、政府にとって都合の悪い効果をもたらすかもしれないとの見解も紹介している。ニューヨーク大学上海校のClay Shirky教授は、AIはネット検閲に利用できるだけでなく、機械翻訳の精度改善で国民が他言語の記事を読み、政府が見せたくない情報を得ることにもつながるとする。

 AIは諸刃の剣というわけだ。「自動車工業とは違って、AIは驚きを生むことがあるのだ」とShirky教授は言う。