クラウド特捜部

プレーヤーがそろい表舞台に立つOpenStack

 OpenStackは、IaaSクラウド構築のオープンソースのソフトウェア プロジェクトとしてユーザーに採用され始めている。

 クラウド Watchでも、2011年にOpenStackの概要に関して解説したが、当時から3年がたち、OpenStackを取り巻く環境も大きく変化している。そこで、今回はOpenStackの現状とロードマップ、採用状況などを解説していく。

ターニングポイントはFoundationの設立

 OpenStackプロジェクトは、米国のパブリッククラウド事業者のRackspaceとNASA(アメリカ航空宇宙局)が中心になって、Amazon Web Services(AWS)互換のクラウドをオープンソースで開発しようとしたのが始まりだった。

 ここにDell、Intel、AMD、NTT、NTTデータなどの多くの企業が参加をして、開発を進めていた。しかし、OpenStackの中核を担っていたNASAにとってはメインの事業ではないため、Compute部分(コード名:Nova)のコードを提供した段階で手を引くことになった。

 またOpenStackプロジェクトは、立ち上がってから多くのIT企業から賛同を得たこともあり、プロジェクトを推進する中核メンバーが初期とは異なってきたり、参加企業が非常に多くなったりしたことで、開発方針やコミュニティ活動のガバナンスなど、さまざまな部分で問題が出てきた。

 そこで2012年4月に、Rackspace、HP、Red Hat、IBM、Nebula、Canonical、SUSE、AT&Tなどをプラチナメンバーとして、OpenStack Foundationが設立された。その後は、OpenStack Foundationが開発の母体となって、開発のペースをアップしてきている。

 CloudStackを推進しているCitrixもOpenStackのメンバーに入っていたが、OpenStack Foundationが設立される段階でOpenStackプロジェクトとはたもとを分かち、単独プロジェクトとして進むようになった。

 OpenStack Foundationは、プラチナメンバー以外にゴールドメンバーとして、Cisco、NetApp、Dell、Yahoo、Intel、NEC、VMware、Juniper Networks、HITACHIなど19社が参加している。さらに、コーポレートスポンサーとしては、EMC、富士通、Oracle、PayPal、Seagate、Brocade、Avayaなど60社が参加している。

 OpenStackのメンバーやスポンサーを見ていると、サーバーベンダーやクラウド事業者だけでなく、ストレージベンダー、ネットワークベンダーなど多岐にわたっていることがわかる。サポーティング企業・団体を含めれば、IT企業だけでなく、さまざまな企業・団体がOpenStackにかかわっている。Citrixも、サポーティング企業として名を連ねている。

OpenStack Foundationのプラチナメンバー(OpenStack FoundationのWebサイトより)

(山本 雅史)