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【OpenStack Summit基調講演】中国の導入事例、HPやRed Hatの取り組み、次期OpenStackのコンポーネント紹介など
(2013/11/8 15:01)
オープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」の国際カンファレンス「OpenStack Summit Hong Kong 2013」が、OpenStack Foundationの主催で11月5日より香港で開催された。参加者3000名以上と過去最大の規模となり、特に日中韓などアジアからの参加が大幅に増えた。会場にいても、日本からの参加者を見掛けることが多く、おそらく100人以上は参加していただろうと思われる。
中国でのOpenStack導入事例を紹介
2日目のカンファレンスは、中国でのOpenStack導入事例を紹介する「OpenStack China Spotlight」で始まった。
OpenStack FoundationのCOOのMark Collier氏は、OpenStackの開発者が世界400都市以上に散らばる中で、最も開発者が多い都市が北京であること、上海もトップ10に入っていることを紹介した。
また、上海や北京のOpenStackコミュニティを紹介。上海コミュニティのリーダーのHui Cheng氏が、2012年10月にサンディエゴで開かれたOpenStack Summitに参加したことがきっかけでOpenStackディストリビューションのUnitedStack社を北京とシリコンバレーで設立した例も語られた。
中国でのOpenStack採用事例として、まず動画サイトiQIYIのJieke Wu氏が登壇した。iQIYIは、Baiduの出資で設立された企業で、Huluのようにライセンスを受けた動画コンテンツを提供しており、月に36億PVがあるという。
iQIYIでは、スケーラビリティのためにOpenStackによるプライベートクラウドを構築している。複数のデータセンターのそれぞれで複数のOpenStackを動かし、全体を1つのダッシュボードで管理。リソースのオンデマンドな確保や、モニタリング、Puppetからのデプロイなどをできるようにしている。さらに、分散処理フレームワークApache Mesosの上でコーデック変換やMapReduce処理、データ分析などを動かし、検索やレコメンデーションを実装しているという。
続いて、Qihoo 360のYufang Zhang氏が登壇した。Qihooはアンチウイルスソフトなどを提供する企業。クラウド上のアンチウイルスエンジンに1日に1300万~1500万件の照合が来て、独自のAndroidアプリのマーケットである360 Mobile Assistantには1日2億のPVがあるという。
こうしたアクセスに耐えるスケーラビリティや俊敏性のために、Qihoo 360では2013年第3四半期からOpenStackを採用。中国各地の20のデータセンターで4,000以上のインスタンスを動かしている。また、ネットワークや認証、ダッシュボード、インスタンスのごみ箱機能などのカスタマイズを加えているという。
最後に、旅行サイトCtripのEric Ye氏が登壇した。ホテルや飛行機の予約など、各種の旅行情報や予約サービスなどを提供しており、中国最大規模の旅行サイトだという。
Ctripは2010年にVMware vCenterでプライベートクラウドを構築し、現在はOpenStackの導入を始めたところだという。壇上では、モバイルサービスや音声検索などもデモされた。