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OpenStack Foundation COOのCollier氏ら合同インタビューと展示会レポート

最重要KPIはコミュニティ、企業参加によるエコシステムも

 OpenStack FoundationのCOOのMark Collier氏と、Executive DirectorのJonathan Bryce氏のプレス合同インタビューも行なわれた。ここでは、そこでの発言をいくつか紹介する。

COOのMark Collier氏(左)とExecutive DirectorのJonathan Bryce氏(右)

―― 日本の近況について

Bryce:日本ではOpenStackのコミュニティが育っている。OpenStack Foundationとして米国以外では最初に日本に行った。NTTがOpenStackをサポートしているほか、ゴールドメンバーとしてNECが参加し、今週、日立がゴールドメンバーに参加した。

―― リリースサイクルを変更する予定は

Collier:いまのところはない。Red HatやCanonical、SUSEのように、ベンダーが長期サポートするケースもあるので、同じバージョンを長く使いたい場合はそうしたベンダーの製品を使うことになるだろう。

 データセンターの自動化という共通のニーズを解決するのがタスクであり、そのために進化していく。プロジェクトはまずインキュベーションから始まり、そのことが発表はされるが、安定するまで少なくとも1年は卒業させない。

―― OpenStackはより上位レイヤーに進むのか。付加価値ベンダーと競合する可能性は

Bryce:価値はどんどん上位レイヤーに進んでいく。競争しているように見えるかもしれないが、標準的なバージョンがあるのはみんなに幸せなことだ。たとえば、Havanaに入ったモニタリングのCeilometerは、開始当初は「OpenStack Foundationがやる必要はない」としばしば言われた。しかし、インキュベーションでプロジェクトが大きくなるにつれ、これがいいものだと皆が思うようになった。

 また、OpenStackのコンポーネントはAPIで組み込める。OpenStackのダッシュボードは、ほかの製品と競争する立場で、使う側は好きなダッシュボードを組み合わせられる。これがAPIの意義だ。

Collier:ベンダーにとって、一番の驚異はAmazonだ。そのため、Amazonを恐れるベンダーがOpenStackに参加している。

―― 信頼性を高めるための課題は

Bryce:昨年から努力して、HPのMonty Taylor氏が基調講演で紹介したように、テストの自動化を進めている。膨大な台数のテストクラウドを備え、ソースコードの変更されるたびにテストが走るようになっている。また、利用企業として、PayPalやIntelは実運用で使っている。信頼性は進化している。

―― Alan Clark氏がプレス向けセッションで、2014年の重点課題として認定プログラムを挙げていた

Bryce:製品やサービスなど、OpenStack環境の認定を考えている。そのために、“OpenStackクラウド”と呼ぶための要件を考えているところだ。使えるAPIやツールがまちまちということにならないように。まだ定義の進行中なので、2014年初頭にはクリアにしたい。

 それとは別に、エンジニアの認定やテストも考えている。2014年後半にできればと思っている。

―― OpenStack Summitに開発者が集まり、Design Summitなども開いて議論している。今回なにかめざましい話は

Collier・Bryce:われわれは忙しくて、議論に参加できていないので(笑)

Bryce:耳にしたところでは、データベースのサービスや、ベアメタルのプロビジョニングなどの話があったそうだ。

―― 初の米国外開催ですが

Collier:前回は約35カ国からの参加だったが、今回は約50カ国からの参加があった。参加者も過去最高となった。

Bryce:これまでアジアからは6%程度の参加だったが、今回は約半分まで増えた。香港で開催してみてよかった。

―― OpenStack Foundationの運営で直面する課題は何か

Collier:一番はコミュニティ。ソフトが急成長してそれに合わせてテストのインフラを増やすなどの対応をすること。

Bryce:ユーザーのコミュニティもある。成長してきて、連絡を保つのが課題となる。OpenStack Foundationは小さい組織なので、世界各地のローカルグループに助けてもらっている。そうしたローカルグループが重要だ。

―― インキュベーションプロジェクトにベンダーが自分の都合のいいものを入れたりしないようにするためのスクリーニングは

Bryce:入るにはTechnical Committeeの認可が必要となる。また、OpenStackのプロセスに合っているか、複数社がコードに貢献しているか、といった基準もある。Havanaで入ったHeatも最初は1社で始まったが、貢献者が増えてインキュベーションプロジェクトに入り、20社に増えた。

―― OpenStack Foundationで最も重要なKPIは

Bryce:コミュニティがどれだけ成長しているか、だ。

(高橋 正和)