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OpenStackは大企業に浸透するのか DellとRed Hatが提携

 DellとRed Hatが、Red Hatが開発中の「OpenStack」パッケージをベースとしたシステムを共同で開発すると発表した。クラウドで手を組み、それぞれの競合他社とOpenStackをベースに戦うことになる。OpenStackをめぐっては、つい先日、Oracleがスポンサーになるなどの動きがあった。OpenStackが勢いを増してゆくとの期待の一方で、なお役不足との見方を示す専門家もあり、議論を呼んでいる。

DellがOpenStack初のOEMに

 12月12日にDellとRed Hatが発表した提携の下、両社はエンタープライズ向けプライベートクラウドの基盤としてOpenStackをプッシュする。具体的には、Dellのハードウェアと、Red Hatが開発中のOpenStackパッケージ最新版「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 4」をベースとしたシステムを共同開発する。

 Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformは10月に公開されたOpenStackの最新版「Havana」(OpenStack 2013.2)に、Red Hatのハイパーバイザー「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor」、Red HatのLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux 6.5」を組み合わせたものだ。現在ベータ版で、2014年に正式版となる予定。システムは設定などを含めてDellのクラウドサービスが提供する。

 両社は開発の成果をOpenStackコミュニティに還元し、OpenStack Foundationで進んでいる仮想ネットワークサービスの「Neutron」や、課金のためのリソース使用量計測サービス「Ceilometer」などのプロジェクトへの参加を強化。OpenStackの開発を進める考えだ。

 さらにDellは、Red Hatが自社OpenStackインフラの導入を促進するために4月に発足させたプログラム「Red Hat OpenStack Cloud Infrastructure Partner Network」に参加する。同社はRed HatのOpenStackパッケージを採用する初のハードウェアベンダーで、OpenStack全体でも初のOEMとなる。

 提供開始は2014年としているが、ハードウェアをはじめ詳細は公開していない。

 なお、プライベートクラウド向けOpenStackシステムとしては、Hewlett-Packard(HP)が12月はじめ、OpenStackべースの「CloudOS」をバンドルした「CloudSystem」を発表している。CloudSystemはサーバー、ストレージ、ソフトウェアを一体としたシステムだ。Red HatとDellの提携は、これに続くものとなる。

(岡田陽子=Infostand)