週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】水冷(液冷)とは

 発熱物を水ないし液体で冷却する仕組みや構造のこと。データセンターにおいては、サーバー内部の半導体に金属板を取り付け、配管を通じて外部の装置との間で液体を循環させ、冷却する方式を指すケースがほとんど。空気をファンで吹き付ける方式(空冷)と比べて効率や電力使用量の面で有利とされる。

 サーバーに内蔵されるCPUなどの半導体チップ類は、高性能化が進む一方で電力消費量が増加。それに伴って発熱量も多くなっており、安定稼働させるためにどう冷却するかが長年の課題となっていた。また、AI運用の中核となるGPUは、CPUにも増して電力消費が大きい傾向にあり、生成AIが本格活用される時代にはさらに影響が広がると考えられる。

 これまでは、チップやケース部分にファンを取り付け、空気の流れをコントロールして冷却するのが一般的だった。しかしデータセンターはサーバー類が集積しているため、単純に空気を循環させるだけではサーバールーム全体が熱くなってしまう。よって冷房を効かせて室温を下げ、それをもってチップも冷やすという考え方だった。

 これに対して水冷は、部屋全体ではなくチップ部分をピンポイントで直接冷やせる。個人用PCを自分で組み立てるような愛好家の間では水冷方式がよく知られていたが、これがデータセンターの世界にも広がっていったと見なすこともできるだろう。

 ただし、データセンターにおける水冷は、別途設備を用意したり、配管なども考慮しなければならないため、導入は容易ではない。なお、配管を通る液体は、厳密には水ではなく、なんらかの物質を混ぜた“クーラント”であるケースも多い。

 このほか、空調用の空気を凝縮器で冷やすことを、水冷と呼称する場合もある。よって混同を避けるため、チップを直接冷却するから「直接水冷(液冷)」「ダイレクトチップ方式」、半導体に金属板を取り付けて冷却するから「コールドプレート方式」、といった表現も頻繁になされる。ちなみに「リアドア方式」の水冷とは、サーバーラック内で暖まった空気をラック背面扉部分に循環させている冷却水で冷やす方式であり、直接水冷とは性格がやや異なる。