週刊データセンターWatch:

データセンターとは

 データセンターとは、 サーバーやネットワーク機器などのIT機器を設置、運用する施設・建物の総称 である。

 データセンターでは、サーバーやネットワーク機器を設置する場所(ラック)と電源、接続回線などが提供される。インターネット接続に特化したものをインターネットデータセンター(IDC)と呼ぶが、近年はこれらインターネット接続前提の施設もまとめてデータセンターと呼ぶことが多い。

 近年は多くのITシステムが企業活動の中で導入されている。もちろん自社内に置いて稼動させればよいという企業もあるが、セキュリティや災害対策、温湿度管理などを考えると、データセンターに置くことにメリットがあるというケースも多い。

 データセンターの特長は、 「建物」、「建物内」、「運用面」の安全性が、通常の建物に較べて非常に高い ことにある。つまり、サーバーやネットワーク機器などのIT機器を安全に設置・運用するのに適した施設・建物がデータセンターである。

特長1 建物の安全性

 地震への備えとして、耐震構造は当然、さらに免震構造の建物となっているデータセンターも多い。地震の揺れを抑制することで、建物内部に設置された機器の破損を防ぐことができる。

 建物の立地についても、地盤の固い場所や、断層から離れたところに建設され、さらに、海岸や大きな河川から離れた場所や、官公庁の発表する災害マップなどで災害の少ないとされる場所に建設されることが多い。

特長2 建物内の安全性

 建物内の安全性(セキュリティ)については、データセンターはとくに厳重だ。入退館の管理を有人で厳しく行うのは当然のこと、監視カメラやフラッパーゲートなど、複数のセキュリティ設備により、人の出入りや建物内での行動を監視・制限して、安全性を高めている。静脈認証や顔認証といった、最新の認証のシステムが導入されているデータセンターもある。

 火災報知システムや火災予兆検知システムも完備される。IT機器は水に弱いため、消火用には窒素系のガスなどが使われる。

特長3 運用面の安全性

 いかに建物が安全であっても、中の機器が止まってしまっては話にならない。データセンターでは、IT機器を動かすための電力や通信回線を冗長化して、運用面の安全性を高めている。また、常にIT機器が正常に動くように温湿度管理も徹底される。

 さらに災害時など、電力の供給が完全に止まってしまってもIT機器の稼動を継続できるように、UPS(無停電電源装置)を設置、さらに、自家発電装置と動かすための重油を常に備蓄し、IT機器が不測の事態にも継続的に稼動できるよう備えている。

 このように、 サーバーやネットワーク機器などのIT機器を安心して預けられるように作られているのがデータセンター だ。

 データセンターを利用するニーズは大まかに分けて4つある。

  1. サーバーなどのIT機器を預けたい(機器は所有し、運用は自分で行う)
  2. サーバーなどのIT機器を預けたい(機器は所有し、運用は任せたい)
  3. サーバーなどのIT機器をサービスとして利用したい(機器は所有しない)
  4. データを安全に保管・バックアップしたい

という4つだ。

 自社のITシステムをデータセンターに預ける場合には、まず預ける形態(所有するか利用するか)、運用(自社で行うか任せたいのか)を考え、サービスを選択する必要がある。

1.サーバーなどのIT機器を預けたい(機器は所有し、運用は自分で行う)→ コロケーション(ハウジング)サービス

 「 サーバーなどのIT機器を預けたい(機器は所有し、運用は自分で行う) 」というニーズに対応するデータセンターサービス。

 ラック単位でIT機器を置くためのスペースを借りるという形態。データセンターによっては1/4や1/2ラックから借りられるところもある。フロア内のスペース単位で借りてラックからユーザーが設置したり、さらにケージで囲ってセキュリティを高めるということも可能だ。

 利用料金や使用できる電源はデータセンターによってさまざまなので注意が必要だ。ラック単位での利用料に電力料金が含まれている場合や含まれていない場合がある。

 運用を自分の手で行うということになると、データセンターの立地も選択のポイントの1つとなる。都心に立地する都市型データセンターは駆け付けにも便利だ。

コロケーション(ハウジング)サービス

2.サーバーなどのIT機器を預けたい(機器は所有し、運用は任せたい)→ マネージドサービス

 「 サーバーなどのIT機器を預けたい(機器は所有し、運用は任せたい) 」というユーザー向けのサービス。

 サーバーなどIT機器の預け方はコロケーションサービスと変わらないが、預けた機器の運用をデータセンターに任せるしまうことが可能なのがマネージドサービスだ。

 事業者によって任せることができる内容は大きく異なる。サーバーやネットワーク機器の監視から運用まで、さまざまな運用業務・作業のなかで、なにをどこまで任せることができるのかを確認することが必要だ。

 機器レベルだけでなく、OSとサーバーソフトウェアの維持管理や、サーバー上で稼動するシステムの運用まで任せられるところもある。

マネージドサービス

3.サーバーなどのIT機器をサービスとして利用したい(機器は所有しない)→ ホスティングサービス、クラウドサービス

 「 サーバーなどのIT機器をサービスとして利用したい(機器は所有しない) 」というニーズに向けて、ITサービスを提供するデータセンターも増えている。

 ホスティングサービスはレンタルサーバーサービスとも言われ、その名の通りサーバーを借りるサービス。サーバーを所有することなく、月額料金などで利用することが可能だ。サーバーの運用は事業者が行うため、利用者がデータセンターを訪れる必要は無い。

 物理サーバーを丸々借りるものを専用サーバーサービス、サーバー内の記憶領域の一部を借りるものを共用サーバーサービスと呼ぶ。仮想化を利用し、仮想マシン単位で借りるものは仮想専用サーバー(VPS)サービスと呼ばれる。

 クラウドサービスは、インターネットを通じてITサービスを利用する形態を指す。IaaS(Infrastructure as a Service)と呼ばれるサービスでは、サーバーを構築・運用するための仮想マシンやネットワークといったインフラを、インターネット経由で利用できる。

ホスティングサービス、クラウドサービス

4.データを安全に保管・バックアップしたい→ バックアップサービス

 事業継続計画(BCP)や災害対策として、「 データを安全に保管・バックアップしたい 」というニーズが高まっている。データセンターではこうした要望に応える多くのサービスが提供されている。

 定期的・自動的にデータのバックアップを取得、保存し、災害などで普段利用しているITシステム(メインサイト)が使えなくなった際には、それらのデータを利用して、事業の継続を図るというサービスだ。バックアップするデータの容量、内容などによって、サービス内容や料金は異なる。

 コロケーションサービスでも1/4ラックといった小さなスペースから借りることができるデータセンターがある。データをバックアップするためだけであれば、サーバーを設置するラックのスペースも小さくて済む。

 データのバックアップ用にIT機器を所有しないで済むサービスも多く提供されている。クラウドサービスやホスティングサービスを利用し、利用量に応じた月額課金形式のバックアップサービスも多い。

 さらに、DR(Disaster Recovery/災害対策)として、メインサイトと同じITシステムを遠隔地に設置することで、メインサイトが不測の事態によって停止した場合にも事業を継続させることができる。

バックアップサービス

 事業者によってこれらのサービスは提供形態も範囲も異なるものだ。自社のITシステムの現状、そこにどんな課題があり、その解決のためにデータセンターが提供するサービスをどのように利用すれば最適解なのかは、それぞれの企業によって異なるものだ。

 あまり詳しくないのでよく分からないといった場合でも、データセンターでは相談に応じてくれたり、コンサルティングサービスなども提供しているところもあるので、当サイト右の資料請求などを利用して、まずは相談してみよう。