週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】BCPとは

 「Business Continuity Plan」の略称で、日本語では「事業継続計画」と訳される。災害などの緊急発生が発生した場合、いかに被害を最小限に抑え、どのように事業の継続や早期復旧を図るか、その方策をとりまとめたもの。近年は地震や津波への対策だけでなく、感染症の流行、サイバー攻撃などへの対処案という文脈も強くなっている。

 BCPは、組織体としての企業・団体を存続させることが最大の目的ではあるが、デジタル化のさらなる進展によってその前提条件も変わってきている。2011年の東日本大震災直後は、地震や津波による事業所の破壊、従業員の死亡やけが、電力不足などの問題が大きくクローズアップされた。データセンターの観点で言えば、ある一地域に集約していたサーバーを関東と関西に分散させたり、通信経路を2回線以上に冗長化するなどの対策が進められた。こうした災害対応の取り組みは「ディザスターリカバリー(DR)」と呼ばれ、BCPにおける要素の1つとなっている。

 それから約10年後の2020年には新型コロナ問題が発生。感染防止の観点から出勤や通学の禁止措置が広がったが、高速な通信インフラの普及がリモートワーク・リモート学習を結果的に支えた。企業によっては、アプリのクラウド化を進めていたことが、混乱の最小化につながったケースもあるだろう。

 しかし、一方で脅威が増しているのがランサムウェアや標的型攻撃を代表とするサイバー攻撃である。社会的には平常で、大半の企業が通常通り業務を行っているにもかかわらず、自社だけが攻撃によって営業停止に追い込まれる可能性も高まっている。BCPの策定や見直しにあたっては、多角的な視点が必要だと言える。