週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】不活性ガス消火設備とは

 火災発生時の消火用設備の一種で、おもに窒素・二酸化炭素のガスを噴射して火を消す。スプリンクラーによる水の散布と比較して、電子機器に物理的ダメージを与えづらい方式である事から、データセンターで広く採用されている。

 データセンターは24時間365日体制で稼働するサーバー設備・通信設備が多数保管される施設である。立地選定の段階でハザードマップが考慮されたり、耐震性に優れた建築構造を採用するのが一般的で、自然災害には強い。またスタッフの防火意識も徹底している。

 しかし、それでも火災が発生する可能性がゼロではないため、煙・火災感知器や消火設備が準備されている。ただし水や消化剤を用いる方式では、仮に火災を防げたとしても水や粉末の侵入で機器が正常稼働しなくなる恐れがある。

 不活性ガス消火設備は、各種機械室、博物館、大型コンテナ船など幅広い施設で利用されている。一方で、二酸化炭素には充満時の窒息リスクがあるため、噴出前の事前警告システムなどが欠かせない。また、ガス噴射時に発生する大きな音(音圧)がハードディスクの故障を誘発するとの指摘があることから、その対策として静音性の高いガス噴射設備も登場している。