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「われわれの技術はすべてのクラウドに対応する」――、米Cloudera CEOが語るHortonworks合併の狙いと効果

 Hadoopを中心とするデータ分析基盤の米Clouderaは、同業の米Hortonworksとの合併を2019年1月に完了した。

 4月に来日したCloudera社CEOのTom Reilly(トム・ライリー)氏に、ClouderaとHortonworksの合併の狙いや、両社のソリューションを統合したハイブリッドクラウド戦略について聞いた。

Cloudera社CEOのTom Reilly氏

ハイブリッドクラウドによるデータクラウドに向けて合併

 Reilly氏はまず、合併の目的として、業界のオープンソースなスタンダードになることや、大スケールで深いエンジニアリングの革新、財務の強化を挙げた。

 「業界は動きが速く、特にオープンソースで革新が起こっている。またクラウド技術の採用も加速しており、企業がエンタープライズのデータクラウドを立ち上げるために、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの環境を享受できる必要がある。さらにそこでは、セキュリティやガバナンス、プライバシーをきちんと確保しなくてはならない」(Reilly氏)。

 合併にあたっては、旧ClouderaとHortonworksで得意分野が異なり、補完的な関係にあると言われている。これについてReilly氏は、まず共通項として、同じビジョンを持つこと、オープンソースへの貢献、顧客やパートナーの類似性を挙げた。

 そのうえで補完的な関係として、HotronworksはIoTやエッジコンピューティングなどのストリーミング分析やデータフローに積極的に投資してきたこと、一方で旧ClouderaはAI/機械学習分野に投資してきたことを説明。「2社が統合することで、エッジからAIまで統合的にカバーできる」と話す。

 合併後のClouderaは、従業員が3000人強。85カ国で営業しており、エンタープライズで2000社の顧客と3000社のパートナーを抱える、とReilly氏は説明した。

 その現状での効果については、「旧ClouderaとHortonworksのそれぞれのロードマップを加速できている。また、それぞれの既存の顧客もロードマップが早まった。標準化の推進を加速している。パートナーにとっても、窓口が2つから1つになった。効果が身を結んできた」と語った。

統合ソリューション「CDP」を今夏をめどに発表予定

 合併によって、エンタープライズデータストラテジーとその開発に関して、十分なリソース開発リソースが得られたことも大きいという。

 その成果として、「今夏をめどに、両社のソリューションを統合した『Cloudera Data Platform(CDP)』を発表する予定だ」とReilly氏は語った。

 CDPは一種のPaaSサービスとして、まずAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureで提供され、追ってGoogle Cloud Platform(GCP)にも対応する予定。CDPの狙いを「企業がハイブリッドクラウドへ、セキュアで簡単に移行するお手伝いをする」とReilly氏は説明した。

 Clouderaの顧客では、およそ7割程度の企業が自社のデータセンターにデータを置いており、残り3割程度がハイブリッドクラウドを利用しているという。「CDPによって、さらに多くの企業がクラウドに移行できる」とReilly氏。

 なお、ハイブリッドクラウドというからには、オンプレミス側のソフトウェアと対になるものと思われるが、そうした全体像についてはReilly氏は「To be announced(追ってアナウンスする)」と答えた。

 「今週は何社かの日本の顧客に会った。1年前と比べてパブリッククラウドへの関心が数段高いと感じている。そうした企業に、安全でガバナンスの高い形でクラウドに移行していただく」(Reilly氏)。

 なおパブリッククラウドでは、例えばGoogleのBigQueryのようなデータ分析サービスが先進的な企業に広く使われている。それについてReilly氏は「そうした独自スタックはすばらしい。また、特にGoogleの各種技術はわれわれに大きな影響を与えている。しかし、クラウドプロバイダーのサービスはほかのクラウドでは使えない。エンタープライズはハイブリッドクラウドやマルチクラウドを求め、その要件にはクラウドプロバイダーのサービスは対応できない。われわれの技術はすべてのクラウドに対応する」とコメントした。

 長期的な方向性としては「多くのイノベーションが必要になる」とReilly氏。「積極的に投資していくのはShared Data Experience(SDX)だ。データの管理やガバナンスを、オンプレミス、パブリッククラウド、マルチクラウドで一元的に行なう。これにより、データがどこにあろうと、一枚のガラスのように管理できる」。

ビジネスのコアから来るデータは企業自身が分析するもの

 日本のビジネスについても、日本法人であるCloudera株式会社の執行役員社長の中村共喜氏に話を聞いた。

 ClouderaとHortonworksの統合について中村氏は、「両社の市場が補完的であることが、統合してよくわかった」と語る。「とある顧客では、部門によってClouderaを使っているところとHortonworksを使っているところがあり、統合について報告したところ喜んでいただいた。中には同じところでユースケースごとに両者を使い分けていたところもある。いずれにしても、顧客の反応はポジティブだ」。

 中村氏は日本企業のデータ活用について「海外に比べて遅れているが、ようやくデータをビジネスにつなげる動きが出てきた。Clouderaとしてはこれから伸びると考えている。どんな企業でも、データを元にした決断やビジネスの差別化に向かうのは自明だと思っている。それは日本でも海外でも同じだ」と語った。

 「ERPのような『モード1』と呼ばれるシステムと違い、Clouderaのようなデータと分析は、企業がアウトソーシングするべき分野ではない。すべてのデータはビジネスのコアから来ており、分析するべきなのはその企業自身だ。これは時間のかかることで、データの力を活用する人材を育てる必要がある。Clouderaはそこに寄り添い、手伝いたい」(中村氏)。

Cloudera株式会社の執行役員社長の中村共喜氏