特別企画

AWS re:Invent 2018レポート、ジャシーCEOが発表した20の新サービスを一挙に解説

AWSクラウドは“ビルダー”をレガシーから解放し続ける――

You were only waiting for this moment to be free - レガシーからの“フリーダム”を実現するデータベースサービス

 3つ目のテーマは昨年のre:Inventでも登場した「Freedom」、曲はビートルズの「Blackbird」だ。

 ジャシーCEOは昨年同様に“データベースの解放(DatabaseFreedom)”を訴え、「You were only waiting for this moment to be free(あなたはこの自由になる瞬間をただ待っていた)」という部分を引用。「ビルダーたちはオールドガードのデータベースから解放され自由になる瞬間を求めている」として、新たに4つのデータベースサービスを発表している。

DynamoDB Read/Write Capacity On Demand

DynamoDBの事前のキャパシティプランニングが不要となり、使った分だけを支払うことが可能に。テーブル作成後、オンデマンドを選択するだけでDynamoDBがRead/Writeを管理、スケールアップもオンデマンドで。全リージョンでGA

DynamoDBユーザーからリクエストが多かったプロビジョニングの際のスループット把握を実現するため、キャパシティプランニングを不要とする機能を提供へ。予測性の低いワークロードの場合は既存のキャパシティプランニングも利用可能
Amazon Timestream

「RDBの1000倍速く、コストは1/10」(ジャシーCEO)という、高速でスケーラブルなフルマネージドの時系列データベース。サーバーレスで提供される。既存の時系列データベースに比べてスケールしやすく、スムージング、近似、補間などの分析機能がビルトインされている。プレビュー提供

従来の時系列データベースに比較して、スケーラブルで低コストな「Amazon Timestream」もフルマネージドで登場
Amazon Quantum Ledger Database(QLDB)

イミュータブル(immutable)で透過的なフルマネージドの台帳データベース。中央の信頼された機関が所有するトランザクションログを提供する。すべての変更(追加のみ)は暗号的に連鎖され、APIによるデータ整合性の検証が可能。データの履歴はすべて可視化でき、追跡や分析が容易。プレビュー提供

ブロックチェーン関連アップデートのひとつ目は中央集権型の台帳データベース「Amazon QLDB」。アペンドオンリーの不変ジャーナルを実装し、順序付けされた永続的な記録を残すことに特化している
Amazon Managed Blockchain

Hyperledger FabricとEthereumをサポートするフルマネージドのブロックチェーンサービス。数回のクリックでブロックチェーンネットワークを構築でき、シンプルなAPIコールでそれらを管理することが可能。さらなる分析のためにQLDBにデータを移行することも容易にできる。プレビュー提供

2つ目のブロックチェーンはHyperledgerとEthereumのどちらかを選べるフルマネージドの「Amazon Managed Blockchain」。数回のクリックで容易にブロックチェーンネットワークを構築できる

 特筆すべきはやはり、ついにAWSがブロックチェーンサービスに進出したことだろう。2年前のre:InventにおいてジャシーCEOは、プレスからのブロックチェーンの質問に対し、「ブロックチェーンは暗号通貨以外でのユースケースが少なすぎて、ビジネスでの活用が見い出しにくい」とコメントし、その時点のAWSとしてはサービスを提供する意志はないとしていた。

 しかし、ここ1、2年でブロックチェーンにおける大きな2つのニーズ(ヘルスケアや製造業などが求める信頼できる中央機関による台帳サービスと、小規模な取引ややリテールなどが求める非中央集権型(decentralized)のトランザクションサービス)が明確な流れとなり、AWSもこうした顧客の声に応じて、2つのブロックチェーンのサービスを用意したかたちとなる。

 トレンドではなく、あくまでも“ビルダーのリクエスト”をもとにサービスを開発/提供するという、AWSのスタイルを象徴するアナウンスでもある。