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ヴイエムウェア、自前IaaSを国内でも提供へ~ソフトバンクと合弁会社

VMware パット・ゲルシンガーCEO

 ヴイエムウェア株式会社は15日、米VMwareが2013年に提供を開始したパブリック型IaaSサービス「VMware vCloud Hybrid Service(以下、vCHS)」の国内提供を発表した。同日よりベータプログラムとして提供し、10月~12月に一般提供する予定。

 vCHSは、VMware vSphereを基盤としたパブリック型IaaSサービス。「Hybrid」の名が示す通り、オンプレミス・プライベートクラウドとのハイブリッド運用を想定するのが特徴で、L2/L3ネットワークをvCHSへ拡張するための仮想ネットワークを提供。オンプレミスで運用されるvSphere環境の仮想マシンをIaaS上へ簡単に移行できるほか、プライベートとパブリックの両クラウド環境で共通利用できるツール、ネットワーク、セキュリティモデルにより、両環境を統合管理できる。

 VMware パット・ゲルシンガーCEOは「オンプレミスとオフプレミスのバランシングに有効。トラフィックのバースト時にオフプレミスを活用するなど、システムの柔軟性や拡張性を簡単に高められる」と話す。

 サービス形態は、グローバル同様に物理的に隔離された専用リソースを提供する「Dedicated Cloud」、マルチテナント形式の「Virtual Private Cloud」の2種類となり、まずは基本的なIaaSとレプリケーション・災害対策「Disaster Recovery as a Service」から、順次仮想デスクトップ「VMware Horizon View Desktop-as-a-Service」、PaaS「Cloud Foundry Platform as a Service」などのサービスも日本で利用可能になる予定。

ソフトバンクグループと合弁会社を設立

ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏

 日本での展開にあたっては、ソフトバンクグループをパートナーとし、合弁会社を設立する。社名は「ヴイエムウェア ヴイクラウド サービス合同会社」で、VMware、ソフトバンクテレコム、ソフトバンク コマース&サービスの3社が出資する。

 ソフトバンクグループがデータセンター、ネットワーク、専任の営業チームを提供し、ヴイエムウェアがvCHSの運用、サポート、パートナー支援を行う。

 データセンター数はソフトバンクの日本拠点を加えて計8箇所(米国×5、英国×2、日本)。vCHSの提供はアジア初、世界では3カ国目となる。ゲルシンガーCEOは「APJのクラウド市場は、2017年までに2倍になるなど急成長している。特に日本は最大の市場で、日本のクラウド市場のCAGRは24%」とし、日本市場への期待を語る。

日本を加えてデータセンターは8拠点に
米国・英国に次ぐ、世界で3番目の国として日本を選択
日本市場への期待の根拠として提示した資料

 ヴイエムウェアは現在、日本においてVMwareのソフトを利用してクラウドサービスを運用する「vCloud Service Provider」パートナーを約200社有している。vCHSはこれまでのパートナープログラムを拡張させるものだが、VMware自身が運営・サポートする点で、これらパートナーが提供するサービスとは異なるものとなる。ヴイエムウェアは、vCHSの展開により、今まで以上に市場でのイノベーションを促進するとともに、そのノウハウはパートナーエコシステムにおいても再利用できるようにするという。

 ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏は、今回の発表を「欧米市場で高い実績を誇るVMwareブランドのサービスが国内でも利用可能に」「利用開始に伴うVMware基盤の環境・運用変更は不要」「VMwareパートナーエコシステムを通じて購入・利用が可能」「既存のVMware顧客がvCHSを利用する場合はワンストップのカスタマサービスが受けられる」とまとめ、「顧客のIT資産はそのままに、短期間で実績ある各種クラウドサービスが利用できる」とアピールした。

川島 弘之