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パブリックIaaSに参入 VMwareの「vCloud Hybrid Service」

 VMwareが同社のIaaS「vCloud Hybrid Service(vCHS)」の一般提供を間もなく開始する。大手Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftに次ぐIaaS参入で、後発となる。仮想化市場のパイオニアであるVMwareが、パブリッククラウド分野で地位を確立できるのか――。当面カギを握るのは既存顧客となりそうだ。

Microsoftと同じアプローチの「vCHS」

 vCHSの一般提供は8月末に開催したVMwareの年次カンファレンス「VMworld 2013」で発表した。vCHSはコンピュータリソースを必要に応じて購入できるIaaSで、5月末に発表。これまで一部顧客向けに提供していた。9月から北米市場で一般に提供を開始し、2014年には日本を含む他の地域に拡大する。

 vCHSは、VMwareの仮想化技術「vSphere」や仮想化管理の「vCloud」をベースとしており、AWSとの互換性はない。オンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドとのハイブリッドクラウドモデルに主眼を置いたもので、VMware環境でアプリケーションを動かしている顧客はvCHSに直接統合できるため、別途ハードウェアを購入することなくキャパシティを追加できる。VMwareはvCHS本格展開にあわせて、ラスベガスにあるデータセンターのほか、カリフォルニア州サンタクララ、バージニア州スターリングにもデータセンターを構築した。

 IaaS機能だけでなく、仮想デスクトップを実装できるデスクトップサービス(VMware Horizon View Desktop as a Service)、アプリケーションやデータを自動でvCHSに複製するディザスタリカバリーサービス(Disaster Recovery as a Service)も提供する。さらに、自社のオープンソースのPaaS技術「Cloud Foundry」ベースのPaaSをvCHSで動かすこともできるという。これらの追加機能は9月のローンチ時には提供されず、第4四半期に利用できるようになる予定だ。また、自社データセンターとvCHS間をつなぐ専用回線サービス「Direct Connect」も用意する。

 マルチテナント型の「Virtual Private Cloud」と専用のサーバーを立てる「Dedicated Cloud」の2種類があり、価格は前者が1時間4.5セントから、後者が1時間13セントからとなっている。これは、1時間6.5セントのAWSなど、他のパブリックIaaSサービスより低めの設定だ。

(岡田陽子=Infostand)