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エクイニクス、複数クラウドサービスを連携させる「Cloud Exchange」

Cloud Exchangeのイメージ
エクイニクスの古田敬 代表取締役

 米Equinixの日本法人であるエクイニクス・ジャパン株式会社(以下、エクイニクス)は4日、データセンター機能「Cloud Exchange」を、2014年秋にも日本で提供することを明らかにした。

 Cloud Exchangeは、複数のクラウドサービス、複数のネットワークサービス、複数のITサービスを相互に結びつけて提供するデータセンター機能のひとつ。データセンター内にクラウドサービスとITサービスを結びつけたスイッチの役割を持たせることにより、ITサービス側は、エクイニクスのサービスを通じて、複数のクラウドサービスを選択することができる。

 エクイニクスが提供するAPIを活用して、ストレージやファイアウォールなどのサービスと接続。複数のクラウドサービスを通じてこれを利用できるとのことで、パフォーマンスの維持、低遅延化、高機能化などの点でメリットがあるとしている。

 同社では、通信事業者を選択可能なキャリアニュートラルなデータセンターを構築してきた経緯があり、日本においても、国内外の約60社の通信事業者を選択可能なIBXデータセンターを展開。この相互接続環境によって、金融サービス事業者同士がエコシステムを構築し、低遅延での高速接続を実現しているという例もある。

 今回の新機能は、これをクラウドサービスと連携させる形へと拡張したもの、と位置づけることができる。全世界で975を超えるネットワークと、450を超えるクラウドサービスへの接続選択肢を提供している強みを生かすことになる。

 エクイニクスの古田敬 代表取締役は、「Cloud Exchangeは、当社が提供するデータセンター機能の新たな付加価値のひとつとして提供するもの。すでに米国では、同機能の提供を開始することを発表しており、まずは、Amazon Web services(AWS)、Microsoft Azureと接続することになる。ここでもエクイニクスは、ニュートラルなポジションを維持することになる」と語る。

 Cloud Exchangeは、同社が全世界で展開する約100カ所のデータセンターのうち、16カ所で提供することを予定しており、そのなかには、東京および大阪のデータセンターも含まれる。

 東京のデータセンターでは2014年秋にも機能の提供を開始し、大阪のデータセンターは年内の機能提供を予定している。まずは、Microsoft Azureとの接続を計画しているという。

プライベートネットワークを延長するEquinix Performance Hub

Equinix Performance Hubの利点

 一方、同社では、Equinix Performance Hub(エクイニクス パフォーマンス ハブ)ソリューションを、アジア太平洋地域に拡大することも発表した。

 Equinix Performance Hubは、企業のプライベートネットワークを、エクイニクスのIBXデータセンターに延長するソリューション。企業は自社のインフラと市販の機器を使い、ネットワークやクラウドサービスに、安全かつ確実に接続することが可能になる。

 「当社が提供するデータセンターサービスをリパッケージ化したものであり、アジアに展開することで、エンドユーザーの近くにPerformance Hubを設置でき、ネットワークパフォーマンスを最大化する、戦略的なデータセンター活用を実現できる」(古田代表取締役)としている。

 3月に北米でPerformance Hubの提供を開始していたが、アジア太平洋地域でのニーズが高まっていることに対応したものだという。

 具体的には、ラック、電源、Cross Connect(構内接続)といったエクイニクスのIBXデータセンター内での「ハウジング」、メトロイーサネット、長距離接続(MPLS-VPN)、ISPといった「ネットワーク接続性」、ルーティング、スイッチング、ファイアウォール、SSL-VPN、ロードバランサー、WANアクセラレーションといった「ネットワーク設備」、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azureなどパブリッククラウドへの広帯域プライベート接続といった「クラウド接続」を提供する。

 「データセンターとネットワークインフラ、クラウドコンピューティングとの接続によって、アプリケーションのパフォーマンスを向上させる当社独自のソリューションであり、世界中で一貫したユーザーエクスペリエンスを提供できるのも特徴。広域ネットワークを単純化し、コスト削減を可能にするほか、パブリッククラウドへの直接接続およびハイブリッドクラウドへの移行に向けた事前準備も可能になる。すでに、Chevron(シェブロン)、eBay、およびNVIDIAといったグローバル企業が、世界中のEquinixのデータセンターにおいてPerformance Hubを導入する予定」だという。

 米国においては、Performance Hubソリューションによって、西海岸から東海岸へと都市をまたぐ環境において、パフォーマンスの改善ベンチマークテストを実施。その結果、Webベースのアプリケーションで、httpのロード時間を半分に短縮。Microsoft SharePointによるファイル転送では40%以上のスピード改善、VDIの起動時間では40%の改善が見られた。またパブリッククラウドにホスティングされているアプリケーションに関しては、インターネット経由の接続時と比較して、ページのロード時間が30%改善、Oracle Data Guardのようなデータ・レプリケーション・アプリケーションにおけるデータ転送速度は約100倍になったという。

 「Equinix Performance Hubは、パフォーマンスを改善するためにWANを再構築する上で、数多くの通信キャリアを選択できる。かつコストを削減したいという企業、VDIやMicrosoft SharePoint、およびWebExなどの業務アプリケーション上で、パフォーマンスやリアルタイム性を改善したい企業、ネットワークの簡素化を実現する上で、パブリッククラウドと自社のインフラをセキュアに接続し、さらにハイブリッドクラウド環境も構築したいという企業などに適しているサービスだ」。

 また、シンガポールとシドニーのデータセンターでは、Solution Validation Centerを利用して導入予定のネットワークやアプリケーションを検証することができるほか、エクイニクス検証設計(EVD)を活用できるという。

 さらに、同社が提供すコンサルティングサービスにより、Equinix Performance Hubの導入をサポートするという。

 Equinixは、データセンターの提供とともに、4500社以上の顧客企業、ならびにパートナー企業とを相互接続する環境を提供。現在、欧米、アジア太平洋の32の戦略的都市において、インターコネクションプラットフォームを展開。日本では、東京都内の4カ所のIBXデータセンター、大阪に1カ所のデータセンターを開設している。

大河原 克行