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日本IBM、“超高速プロセッサ”POWER8搭載サーバー「Power System Sクラス」
(2014/4/25 06:00)
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は24日、新プロセッサ「POWER8」と、これを搭載したサーバー「IBM Power System Sクラス」発表した。ビッグデータの高速処理を意識したスケールアウト型サーバーで、最新のx86サーバーに比べ、50倍迅速にアナリティクスを行えるという。日本IBMのマーティン・イェッター社長は新製品について、「現在、ITを取り巻く環境は大きな変革期を迎えている。この大きな変革に対応できるテクノロジーを世界市場に投入できることを思う」と述べ、IBMが全世界で展開する技術優位性をアピールした。
IBM Power System Sクラスは4月24日に全世界で発表された。Linux専用の「Power Systems S812L」と「Power Systems S822L」、Linuxに加えAIXとIBM iシリーズといった複数OSに対応する「Power Systems S814」「Power Systems S822」「Power Systems S824」の5モデルwをラインアップ。6月10日より順次出荷する予定となっている。
いずれも最新のPOWER8プロセッサを搭載し、最新のx86サーバーと比較してコアあたりのスレッド数は4倍、メモリ帯域は最大6倍、I/O帯域は従来比で5倍となった。業界初のアクセラレータインターフェースCAPI(Coherent Accelerator Processor Interface)も搭載する。
「分析処理能力は50倍高速になるほか、Javaアプリと密連携することで2倍高速に、非構造データの処理も24倍高速となる。さらに、ソフトとの連携によってさらなる高速処理を実現した、ビッグデータのアナリティクスを高速に行うサーバー製品だ」(日本IBM 理事 システム製品事業本部 サーバーセールス事業部の大島啓文氏)。
POWER8プロセッサは、コア性能が向上し、コアあたり8スレッドを実行可能。キャッシュ容量の増加、メモリレイテンシおよび帯域の向上、I/Oサブシステムの性能向上などを実現している。
「I/O部分がデータ受け渡しのキーになるため、ここの部分を太くしておくことで、大容量ビッグデータのやりとりに対応するITインフラとなる」(日本IBM システム&テクノロジー エバンジェリストの伊東成倫氏)。
CAPIは、外部のアクセラレーターと直接やりとりする構造で、「外部アクセラレーターの機能をフルに生かすことができる」(伊東氏)ことが大きな特徴となっている。CAPI接続によるPOWER8とフラッシュメモリの接続の場合では、アプリケーションからのRead/Writeコマンド発動時の命令パスレングスが、従来は2万命令以上あったのに対し、500命令以下となる。
さらに、PowerVMは脆弱性報告が0と、セキュリティ面の信頼性が高いのに加え、オープンテクノロジーによってハイブリッドクラウド環境での可搬性が高いという特性も持っている。
IBMでは、POWER8を取り巻くオープンプラットフォーム環境整備に向けて、Linux関連に1000億円以上を投資。さらに、OpenPOWER Foundationを立ち上げてPOWERアーキテクチャの公開と、“仲間”を増やすことでエコシステム作りを進めている。
参加企業数は2013年夏の発足時の5社から、現段階で25社まで拡大し、参加企業以外にも、共同でのビジネス推進に賛同している企業が60社以上となった。「日本からは、日立が参加しており、さらに仲間が増えていく見通し」(大島氏)。
拡販施策としては、6月末まで申し込み分に対して、1ソケット、10コア、2U、メモリ64GBのLinux専用機を88.8万円で販売する「Linux on Power Systemスタートキャンペーン」も実施。販売支援体制として、パートナーも含めた全国1000人体制の営業体制を構築した。さらに、x86/Linux対応のISVソリューションをLinux on Powerに対応させる支援も無償で提供し、対応ソリューションの拡充を進めていく。