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日本オラクル、インメモリ能力を最大限に引き出すサーバー「SPARC M6-32」
エンジニアド・システム「Oracle SuperCluster M6-32」も
(2013/10/23 16:38)
日本オラクル株式会社は23日、最新のSPARCサーバーである「SPARC M6-32サーバー」と、同サーバーをベースにしたエンジニアド・システム「Oracle SuperCluster M6-32」の提供を始めた。
クロック周波数3.6GHz、前世代から倍増した12個のコアを有する「SPARC 6」プロセッサは、前世代の登場から半年という短期間で2倍という大幅な性能向上を実現。このSPARC 6を搭載するSPARC M6-32サーバーは、1筐体に32TBのメモリを搭載することが可能なハイエンドサーバーである。
今回の製品は、OSとしてLinuxではなくSolarisを採用しているが、その理由について日本オラクル株式会社 執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏は、「32TBのメモリを動かすためには現在のLinuxテクノロジーでは対応できない。Solaris以外の選択はなかった」と説明する。
SPARC M6-32サーバーは、システム帯域は3TB/秒、メモリ帯域は1.4TB/秒、I/O帯域は1TB/秒を実現。オラクルソフトウェアを最速で動かす独自技術を搭載し、最大384コア、メモリは前述のように最大32TBと高い拡張性をもっている。
しかしそれだけでなく、飯尾氏は、「Oracleのハードウェアエンジニアは1150人いるが、このエンジニアがインメモリ、インシリコンでの最速化を実現するために、ソフトウェアエンジニアとも連携をとって開発を進め、クラウド、ビッグデータといったリアルタイム処理を実現していく」と、ソフトウェアと一体になった開発姿勢を強調した。
賛同パートナーとして東芝ソリューション、TIS、NTTデータ先端技術、NEC、CTCが名を連ね、さらにこれまでもSPARCサーバーを販売してきたパートナーと連携して日本でのビジネスを進める計画だ。
一方、エンジニアド・システムであるOracle SuperCluster M6-32は、「Exadata、Exalogic、Virtualizationは独立して利用することも可能だが、統合したことでセッティングのための手間、時間を削減でき、性能面でも最高のパフォーマンスを出すことができる」(米Oracle システムズ・プロダクト・マネジメント&ストラテジ担当 シニア・バイスプレジデントのデイビッド・ローラー氏)と、統合によるメリットが大きい製品となっている。
特に現在のようにデータ量が急速に増大し、そのデータの管理と、リアルタイムに分析が求められている中、メモリの価格が下がり大容量メモリ搭載が現実的になってきたことで、インメモリ・コンピューティングを最高性能で利用することができる。
データベース・パフォーマンスは7倍に向上し、従来型システムがサーバー間でデータコピーが不要となるなど、インメモリ・アプリケーションを高速に実行できる。
ローラー氏は、「Oracle Exadata、Oracle Exalogic、Oracle Virtualizationを統合したエンジニアド・システムであるOracle SuperClusterでは当社のインメモリ・アプリケーションが10倍から20倍、データベースとJavaアプリケーションのパフォーマンスが10倍、データベース圧縮も10倍、仮想化のオーバーヘッドは0となった。従来型のシステムに比べ、インメモリ・アプリケーションを高速に実行できる」と述べ、自社のソフトも含めた高速化を実現していることが特徴だと説明する。
主な導入メリットとしては、決算、コスト管理、予測、プランニングなどのアプリケーションで、オラクルのインメモリ技術により、パフォーマンスが10倍から20倍向上し、企業にとって意思決定の迅速化が図れるとした。
また、Oracle Databaseのクエリ検索とレポート作成を約10倍高速化し、容量は1/10に圧縮できる。個々のシステムを独自に構築する場合と比較して、開発期間は1/5、管理・保守に必要な時間は1/3に短縮する。
今回、SPARC M6-32サーバーの最小構成価格は6585万8531円からだが、他社と比較してソケット数が増えた場合の価格上昇比率を抑えており、2ソケットタイプから32ソケットタイプまで、ほぼリニアな価格設定を実現。「ソケット数が大きくなれば価格も跳ね上がるといった、ビジネスモデルを再定義する価格設定。ビジネスモデルのパラダイムシフトを起こす」(ローラー氏)とアピールしている。
今後のシリコンへの開発投資については、「これまで2年ごとに性能を倍増しており、次に投入するM7/T7、さらにその次のM8/T8の開発を進めている。M7/T7についてはラボで試験中で、先の未来ではなく、近いうちに投入を予定している。ソフトウェア・イン・シリコンを進化させる。M8については新しいコアを開発することになる」(ローラー氏)とした。