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オラクル、「世界最速」のプロセッサを搭載したSPARCサーバー

米Oracle シニア・バイスプレジデント システムズ・セールス アジア・パシフィック&ジャパンのエイドリアン・ジョーンズ氏

 日本オラクル株式会社は16日、「Oracle Solaris」が稼働する「SPARC」サーバー製品群の新モデルとして、中規模コンピューティング環境向けの「SPARC T5」サーバー4機種、および大規模コンピューティング環境向けの「SPARC M5」サーバー1機種を本日より提供開始したと発表した。

 今回の新モデルの大きな特徴は、オラクルが自社開発した“世界最速”のマイクロプロセッサを搭載している点だ。米Oracle シニア・バイスプレジデント システムズ・セールス アジア・パシフィック&ジャパンのエイドリアン・ジョーンズ氏は、「前世代までのSPARCプロセッサは、サン・マイクロシステムズ(以下、サン)のレガシーテクノロジーを使ったものだったが、今回は、オラクルが初めて自社チップセットとして開発したプロセッサとなる。そして、最新の『SPARC T5』プロセッサは、世界のあらゆるメーカーのプロセッサよりも高速な性能を実現している」と述べた。

「SPARC T5」プロセッサ
SPARCプロセッサは全世代間で2倍の性能向上を達成

 また、ジョーンズ氏は、同プロセッサの開発経緯について、「当社では、Sunを買収した3年前から、継続してハードウェアとソフトウェアの連動を推進している。これにより、顧客に優れたパフォーマンスと価値を提供し、ビジネスの生産性向上、さらには業績拡大に貢献することを目指してきた。その中で、SPARCプロセッサの開発においては、『SPARC T3』以来、各世代間で2倍の性能向上を達成してきている。一方、IBM Powerやx86の各世代間での性能向上は30~50%程度であり、この結果、3年間でSPARCプロセッサが世界最速に到達した」と説明している。

 「SPARC T5」プロセッサは、16個のプロセッサ・コアを搭載し、最大128スレッドを同時並列に実行可能。クロック周波数は3.6GHz、16コア共有L3キャッシュを8MB搭載。「SPARC T4」プロセッサと比較して、プロセッサ・コア数を2倍、クロック周波数を1.2倍向上している。

SPARCサーバーの新しい製品体系
米Oracle システムズ・プロダクト・マネジメント&ストラテジ担当 シニア・バイスプレジデントのデイビッド・ローラー氏

 米Oracle システムズ・プロダクト・マネジメント&ストラテジ担当 シニア・バイスプレジデントのデイビッド・ローラー氏は、「システムの性能向上としては、『SPARC T4』に比べて、5倍のメモリ帯域、4倍のI/O帯域、2倍のメモリ容量、5倍のアプリケーション性能を実現しており、オラクルのデータベースやミドルウェア、業務アプリケーションを高速に実行し、価値を最大化できる。そして、これまでに17のベンチマークで世界記録を樹立している」と、「SPARC T5」プロセッサの高速性能を強調した。

 あわせて発表された、大規模コンピューティング環境向けの「SPARC M5-32」は、クロック周波数3.6GHz、プロセッサ・コアを6個有する「SPARC M5」プロセッサを最大32個、6コア共有L3キャッシュを48MB搭載。プロセッサあたり最大48スレッドを同時並列に処理し、システムあたり最大1536スレッドまで拡張可能となっている。前世代の「SPARC M9000」サーバーに比べて、処理速度を最大10倍向上し、メインフレーム並の優れたハードウェア・ドメイン設定やRAS機能を提供する。

 「既存の『SPARC T4』サーバーをエントリーモデルとし、新たに『SPARC T5』サーバーをミッドレンジモデル、『SPARC M5-32』サーバーをハイエンドモデルとすることで、『SPARC』サーバーの製品体系を一新する。これにより、小規模コンピューティング環境から基幹システムのプラットフォームまで広範にわたって網羅するラインアップが完成した」(ローラー氏)としている。

日本オラクル 執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏

 新製品の投入にともなう日本市場でのSPARC戦略について、日本オラクル 執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏は、「今回の最新『SPARC』サーバーは、3つの戦略で日本市場での拡販を推進していく。まずは、既存のオラクルハードウェアを利用している顧客に、最新モデルの高性能性を提案し、インストールベースを刷新していく。2つめに、オラクルアプリケーションを他社サーバーで活用している顧客に対して、オラクルが開発した最新サーバーを利用することでのパフォーマンス向上を訴求する。そして、3つめとして、世界最速の性能をアピールし、競合他社からのシェア獲得を狙っていく」との考えを明らかにした。

 なお、発表会には、「SPARC」サーバーの国内販売パートナー企業から、日立システムズ、伊藤忠テクノソリューションズ、東芝ソリューション、NTTデータ先端技術、TIS、新日鉄住金ソリューションズの6社が同席し、世界最速のSPARCサーバー新製品の拡販に向けて意欲を示した。

「SPARC」サーバー新製品発表会でのフォトセッション

 「SPARC T5」サーバー各モデルの税別価格は、「SPARC T5-2」サーバー(ラックマウント型、SPARC T5プロセッサ 2個、最大メインメモリ512GB)が583万552円から、「SPARC T5-4」サーバー(ラックマウント型、SPARC T5プロセッサ 4個、最大メインメモリ2TB)が1604万8592円から、「SPARC T5-8」サーバー(ラックマウント型、SPARC T5プロセッサ 8個、最大メインメモリ4TB)が2912万7074円から、「SPARC T5-1B」サーバー・モジュール(ブレード型、SPARC T5プロセッサ 1個、最大メインメモリ256GB)が273万6091円から。また、「SPARC M5-32」サーバー(ラックマウント型、SPARC M5プロセッサ 32個、最大メインメモリ32TB)の税別価格は6593万7553円から。

「SPARC T5-2」サーバー
「SPARC T5-4」サーバー

(唐沢 正和)